大量のチンピラが襲いかかってきているのにさとみは相変わらず余裕そうにヒョイヒョイと避ける。
ヒュンッと投げると、まるで糸などで操っているかのようにナイフが飛ぶ。
それがチンピラの頬や足をかすっていく。
かするだけ?そう思った人がいると思う。
でもな、本当は違うんだよ。
サイコパス?るぅと?←
いいえ、違います。さとみです。
まだ投げていない一本をちろりと舐める。
…悪人ヅラになってるよ?
チンピラさん達の赤い血がつぅ…と伝うのを見て、私はゾッとする。
痛みとしてもあるし、なにより怖い。
常に手入れされた状態だから日光に反射するとギラっと刃が光るんだ。
それが恐怖を増幅させるってこと。
背後に忍び寄っていたヤツを殴る。
ナックルは力を増幅させる道具。
顔にストレートで入ったので、鼻の骨折れたのは確実といってもいいだろう。
空を切って鉛の玉が飛ぶ。
それが恐ろしい勢いでチンピラに当たる。
肩に当たったもの、膝に当たったもの…見事にも関節ばかりだ。
砕くよりも外す魂胆だな。
ビール瓶二刀流で頭中心で殴ってんだもん。
割れたの使ってるあたり卑劣だよね。
…単純に痛そう。
そうツッコむジェルはというと…うん。
あれ…素手かな?ヤバいね、頭おかしい?
あ、もとからだったねー←もはや感情皆無
気の抜けた声を上げて敵に突っ込んでいく。
でもやっぱり、ある程度の武術は身についているようで…バッタバッタと敵をなぎ倒していく。
またもチンピラが慌てふためく。
そこに現れた二人によって、勝利は確信へと変わっていった。
私は被っていた帽子のつばを、前にクイッと引っ張って目元を隠す。
そして、わざとらしく顔をあげて舌を出す。
ベェッとアッカンベーとして思わず笑った。
最後のトドメというか…締めに入る。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。