涼の家に泊まった翌日。
「今日どこ行くかー?」
相変わらずの涼。
私は色々考えて、あまり眠れなかった。
『どこでも大丈夫だよ!』
空元気で涼に委ねた。
「じゃとりあえず出掛けようぜ!」
『そうだね。』
一緒に居たいけど離れたい。
そんな気持ちにだった。
それから、涼の行きたい所に行って、あっという間に夜に。
「今日も楽しかったな!」
『そうだね。』
「何かさ、お前今日変じゃね?」
バレないようにしてたけど様子が、おかしいとわかっていたみたいだった。
『えー!そんな事ないよ‼️楽しかったよ!また、どっか行こうね!』
本当の事なんて言えないし言いたくない。関係を壊したくない。
「俺の気にしすぎか!」
『そうそう!じゃ明日も仕事だから帰るね!』
「おう、気を付けてな!」
そして涼とバイバイした。
自然と涙が溢れた。止まらなかった。
今の関係が壊れるのは辛い。
でもこのまま関係を続けても辛い。
私、涼が好きなんだ。
好きになっちゃったんだ。
でも素直に涼に気持ちを話したくなかった。
それから私は、あんなに楽しかった涼との関係が苦しくなっていった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!