第10話

高校生活⑧
1,611
2020/03/22 22:57
そしてテスト当日。
また久しぶりの学校。
嫌で嫌でたまらなかった。
でも今日で終わる。

相変わらず友達は声を掛けてくれた。
嬉しかったけど、もう心には響かなくなってしまっていた。
そしてテストが終わり、また学校をサボる日々。
サボる仲間が出来た事もあり寂しくはなく、むしろ楽しかった。
テストの返却があるまでは…


テストの返却。
5教科それなりに点数が取れていてビックリした。
学校行ってない私に勉強なんかわかるはずない。全部適当に書いたのに、ある意味運が良かったのか適当がハマってしまった。

そしてまた、担任に呼ばれた。
なぜか印刷室に…
二人きりで。内側から鍵をかけられ密室状態。気持ち悪い。

「あまねさん、テスト頑張りましたね!素晴らしいですよ!これからも頑張ってくれますね?」
コイツ頭ヤバイと思った。


『今のこの密室状態は何?
この前のロッカーの件は?
何も解決してないじゃん。テストは仕方なく受けただけ。答えも適当に書いただけ。勉強なんかしてないし、ずっとサボって遊んでたよ!あたしは親を悲しませたくないからテスト受けただけ!先生の為じゃない!とにかく先生と1年は無理です。辞めます!』
そう言ったら担任が
テーブルを叩いた。
「私の何がいけないんですか?私は今年初めてクラスを持ったんです!わからない事があるのは当たり前です!」
やっぱりコイツおかしい。
さすがに私も黙ってらんない。
『そんなの知らねーよ!それはテメーの問題だろ?私には関係ない!初めての担任?だったらクラスの生徒1人も守れなくて何が担任だよ!とにかく私は学校辞める!あんたの顔2度と見たくない!早く鍵開けろ!開けないとデカイ声出すぞ!』
そう言ったら鍵を開けたので走って逃げた。
怖かった。本当に怖かった。
そして家に帰って親にまた全て話した。

先生にされた事、言われた事。
もう学校に行くのが辛い。苦しい。
泣きながら全部ぶつけた。
ごめんなさいって何回も謝って。

黙って聞いていた父親が
「わかった!あまねの気持ちは。もうそんな所行かなくて良い。本音は卒業してほしい。でも義務教育じゃないし辛い思いまでして卒業しなくていい。勉強なんか出来なくていい。頭悪くたっていい。ただ最低限の常識の理解出来る人間になりなさい!学校を辞めるなら条件がある。
まず、すぐに仕事を見つける事。
仕事を始めたら、お小遣いはなし。
携帯代も自分で払う事。
1000円でも良いから家に、お金を入れる事。それを出来るなら辞めても良い。」

母親は泣いていたけど
私は、すぐに全て了承した。

次の日、バイト先の社長に全て話をして朝から働かせてほしいと、お願いした。
社長は快く了承してくれた。
「あまねちゃんが朝から居てくれたら売り上げ上がりそうだから嬉しいよ!」
そう言ってくれて嬉しかった。

父親が学校に辞めたいと電話をしてくれた。
だけど学校側は認めてくれなかった。
「お宅の娘さんは、やれば出来る子です!親御さんが可能性を潰さないでください。」
だの言われたらしい。

それでなかなか退学届けが出せずにいた。
あっという間に夏休みになった。
父親が仕事を休んでくれて学校に行った。

さすがに乗り込んで来るとは思ってなかった学校側は慌てていたけど父親と私の意思は変わらない事。
全て父親が話してくれて、やっと学校が手続きを始めた。

そして夏休みの最終日。
退学届けが受理された。
(その後友達から聞いた話では私の居たクラスからは私を含め10人が退学したそう。次の年には担任だった男は退職したらしい)

やっと解放された!
やっと自由になれる!
やっと本当の自分になれる!
この時は、そう思っていた。
彼に出会うまでは…

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