第92話

哲也①
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2020/04/27 00:22
出会い系で知り合った哲也。
結婚間際の彼女が居る人だった。
結婚する前に、やりたい事やっておきたいって出会い系をしていた。
私の中でのルールは
"相手の事は深く聞かない"
"私の事も深く話さない"
"偽名を使う(奈々と名乗っていた)"
これは鉄則だった。
だけど哲也は自分の事を聞いてほしかったみたいで話が止まらなかった。
「彼女の事、嫌いとかじゃないんだけどさ、俺はまだ結婚とか先でも良いって思ってて。でも親同士も仲が良いから否定出来なくて。それに迷ってる理由が体の相性で。なんか合わないんだよね、彼女と。」
いつもなら私は相手の話なんて興味ないし聞きたくもないんだけど、何だか聞いてあげたいと思った。
『体の相性って大事だよね!結婚したら、ずっとその人だけだもんね。浮気とか不倫とかしない限りは。』
「だからさ、俺このまま結婚しても上手く行かない気がして。でも彼女に体の相性が合わないなんて言えないし。」
『言われたら傷付くよね。』
「だったら今のうちにと思って。」
『そっか。』
「奈々は、何で出会い系してるの?彼氏は?」
『彼氏は居ないよ。色々あってね。こうゆう事してないと自殺しちゃいそうだから。』
「えっ!?そんなに苦しい事あるの?」
『まぁね。でも私は出会い系で知り合った人には話さないって決めてるから。』
「聞きたかったな!」
『ごめんね。』
そして私達の目的は、あくまでもセックス。
それ以上でも、それ以下でもない。
とっとと終わらせたかった。
そして哲也とセックスした。

「奈々!めちゃくちゃ良かった!俺今まで、色々な人とセックスしたけど1番良かった!」
正直私は何とも感じなかったけど
『それは良かったね。』
「しかも、俺、奈々の顔もタイプだしマジ好きになっちゃうかも!ヤバイヤバイ!」
男は"セックス"の為なら平気で嘘を付く。
『はいはい。早く着替えて。』
「ダメ!もう1回させて!」
そう言って哲也は、また私を抱いた。
"奈々かわいい"
"奈々好き"
"今だけで良いから彼氏と思って俺も彼女と思うから"
そして何度も何度も私を抱いた。
私はシャワーを浴びて着替えていると哲也が後ろから抱きしめてきた。
「奈々、本当にタイプだからね、嘘じゃない!彼女になってほしい。それくらい。」
『錯覚起こしてるだけだよ!彼女とマンネリだから、そう思ってるだけだよ!それに彼女と別れんの無理でしょ?早く着替えて。』
「奈々って本名?俺は本名だけど。」
今まで本名聞かれた事なかった。
『本名なわけないでしょ。』
「本名教えてよ!」
『嫌だ。』
「フルネームじゃなくて良いから。下の名前だけでも知りたい。」
もう2度と会うことも無いから下の名前なら教えてもいいか。
『あまね。私の本名は、あまねだよ。』
「あまね。かわいいじゃん!奈々より、しっくりくる!あまね、また会いたい!」
『暇ならね。』
私は出会い系で知り合った男とは2度と会わないと決めてるから終わったら着信拒否をしてきた。
「メールとかしたい!電話もしていい?」
何となく、哲也なら良いかなと思って
『電話とメールだけなら良いけど。』
「じゃ絶対連絡するから!」
『わかった。』
まぁどうせ、してこないだろうと思った。
そして私達はバイバイした。

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