第108話

隆二12
121
2020/04/30 10:32
不安を抱えながら隆二のアパートに向かう。
夕飯作って待っててみようと思った。
直弘の時と、まったく同じ状況に、あえてした。
スーパーで買い物をして隆二のアパートに着く。
合鍵で部屋に入る。
もちろん隆二は居ない。
私は、お風呂掃除をして夕飯を作って隆二の帰りを待った。
不安で不安で、たまらない。
怒られたら?
帰れ!って言われたら。
直弘の事が蘇ってきて体が震えだした。

すると隆二から電話がきた。
「あまねー仕事終わったよ。疲れたぁ!」
『お疲れ様!』
震えた声を必死に隠した。
「あまね?なんかあった?」
『ううん、何もないよ!』
「そっか。なんかあったら、いつでも言って。いつでも来て良いんだよ!」
『隆くん、ありがとう!』
「じゃとりあえず家帰る!寝る前にまた電話するね!」
『うん、待ってる、気を付けてね!』
いよいよ隆二が帰ってくる。
怖い、不安、震えが止まらない。
職場から10分もあれば着く距離。
殴られたら?もう恐怖と不安で苦しかった。
すると玄関の鍵が勢いよく開いた。
怒ってるんだ。泣きそうになって震えた。

「あまねー!どこ?」
私は恐怖と震えで部屋の奥に隠れていた。
隆二は必死に私を探す。
「あまね!居るんでしょ?」
そして隆二に見つかった。
「あまね♡」
隆二は私を見つけると抱き締めてくれた。
「あまね♡ただいま♡来てくれたんだね!凄く嬉しいよ!しかも何か良い匂いする♪」
あれ?怒らないの?帰れ!って怒鳴らないの?
私が怯え震えているのが伝わったみたいで
「あまね?どうしたの?黙ってたら、わからないから話して。」
私は緊張の糸が切れて泣き出してしまった。
「ゆっくりで良いよ。ちゃんと聞くから。」
そう言って抱き締めて背中を、さすってくれた。
そして私は直弘と付き合っている時の事を詳しく話した。
直弘の話はしていたけど、ここまで深く話した事なかった。
「あまね、辛かったね。でも俺は今日来てくれて凄く嬉しい!マジで幸せ!あまねの車が停まってるの見た瞬間疲れも、ぶっ飛んだ!本当に。だから急に過去を忘れたり消すのは無理だけど少なくとも俺は違うから。大好きな彼女が来て、ご飯作って待っててくれたら嬉しいし疲れも、ぶっ飛んで幸せだから!だから少しずつ変えて行こう、一緒に!」
『隆くん、ありがとう。』
「お礼は俺がする方だよ!仕事疲れてんのに、ご飯作ってくれて、ありがとう!一緒に、お風呂入ろう!」
『うん。さっぱりしたい!泣きすぎたから!』
「泣いてても可愛いよ♡」
『からかわないでよ(笑)』

隆二は私を、しっかり受け止めてくれた。
私が初めて作った食事も全部
"美味しい"
って食べてくれた。

そして一緒に眠る。
いっぱい泣いたから、すぐ眠った。
私が眠るまで、隆二は、ずっと頭を撫でてくれていた。

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