第149話

隆二47
345
2020/05/21 13:23
電話が鳴った。
眠っていた私は着信音で目が覚めた。

「あまね!仕事終わったよ!」
『お疲れ様。』
「あまね、何かあった?」
寝起きだったのもあるけど何かを察したみたいで私は慌ててウソを付いた。
『今日休みだったから気合い入れて夕飯作ってたんだけど急に頭痛が始まって(元々偏頭痛持ちだから隆二も知ってる事)寝てたの。だから夕飯まだ途中なの。ごめんね。』
「薬飲んだ?ご飯なんて作らなくて良いよ!」
『ありがとう。薬飲んだよ。寝たら少し楽になったから!隆くん、ありがとう。』
「とにかく急いで帰るから!待ってて!」
『うん、待ってる、気をつけて。』
隆二の声を聞いて安心した気持ちと共に、あんなに心配して想ってくれてる隆二に一瞬でも直弘に心が揺れた自分が許せなくて涙が出た。
直弘が隆二の立場なら絶対に怒る。
そんな男に揺れた自分がバカ過ぎて泣けた。

「あまね!ただいま!大丈夫?」
『うん。』
私は泣いてたから慌てて涙を堪えたけど
「あまね、泣く程痛い?」
『違う。昼間1人で頭痛くなって心細くて隆くんの声聞いたら安心して泣いちゃった。』
とっさに誤魔化した。
「もう帰って来たから!どこにも行かないから!安心して。」
そう言って抱きしめてくれた。
本当に私は隆二を選んで良かった。
直弘を選ばなくて良かった。
本当に本当に…


それから、直弘から連絡が来る事はなくなった。


今までたくさんの男の人と出会い別れ、その1人1人の思い出は良いことも悪い事も消せる事はありません。
今でも突然、思い出す事もあります。
苦しくなる事もあります。

でも、いつか必ず薄れていきます。
必ず苦しかった、辛かった事を上書きしてくれる人に巡りあえたら…

私は1度、本当の自分を殺しました。
ただ生きてるってだけの廃人の様な時期もありました。
自殺を試みた事もあります。
セックス依存性にもなりました。

でも隆二との出会いが全てを変えてくれました。
隆二と出会ってなかったら今、私はどうなっていたか正直わかりません。
本当の自分を殺した私を生きかえらせてくれました。
本当の自分を見つけてくれました。

人と人との出会いは必ず意味があるもの

私は、そう思っています。

明斗、涼、直弘、充、哲也…
本当に色々あったけど
この出会いがあったからこそ隆二と出会えたのだと思っています。

恋愛に正解は無いと思います。
出会いも選べないと思います。

でも自分で変える事は絶対に出来ると思います。

長く長く書いてきましたが
"本当の私…見つけるまで。"
は完結とさせて頂きます。

この後、後書きを書いて
次は隆二との結婚生活について新しい小説を書いていきたいと思っております。

本当にたくさんの方に読んで頂きありがとうございました。
コメントくださった方、ありがとうございましたm(__)m

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