第38話

涼14
388
2020/03/27 13:08
あの事故以来初めての涼の家。
相変わらず交差点には花があった。
涼は目を伏せている様に見えた。
あえて触れないで見過ごした。

「あまね、入れよ。誰も居ないから。」
『えっ大丈夫なの?ご両親居ないのに。』
「仕事行ってるから!」
『じゃお邪魔します。』
初めて入る涼の家。
涼の部屋からは交差点が見えた。
これは逃げたくなるのは仕方ないと思った。
「適当に座れよ!」
『うん。しかし汚い部屋(笑)』
「いやいや、ずっと家出してたからな(笑)」
『掃除しよ!私手伝うから!気持ちも変わるよ!キレイな部屋なら♪』
「えーめんどくせーよ(^^;」
『ダメ!こんな汚い部屋に居たら気持ち余計に沈むから!ゴミ袋ちょうだい!』
「ったく、わかったよ〜!」
『よーし!やるぞ!』
私は何かに取り付かれた様に掃除をした。
そして約2時間かかって部屋はピカピカになった。
「俺の部屋じゃないみたいだな!」
『ねー気持ちいいでしょ?』
「確かに!ありがとな!」
『お礼は焼き肉で許してやる(笑)』
「えー!大家さん家は追い出すわ、焼き肉集るわ、酷いっすよー(笑)」
2人で冗談良いながら笑う。
この感じが心地よく楽しくて本当の自分で居られた。

すると
「涼?居るのか?」
涼の、お父さんが帰ってきた。
やだ、初めて会うのに勝手に上がりこんで。

「あー帰ったよ。」
涼パパ
「お客さんかな?」
『はじめまして。あまねと申します。お留守に、お邪魔してすみません。』
涼パパ
「丁寧な子だね。ゆっくりして言ってねと言いたいとこだけど、涼の部屋は座る所ないだろう?」
『あっ勝手に掃除させてもらっちゃったんで。すみません。』
涼パパは涼の部屋を見てビックリしていた!
『いきなり来て勝手に、でしゃばってすみません。あまりにも酷かったから。』
涼パパは笑って
「ありがとう!涼は何回言っても掃除しないから、妻がやっていたんだけど甘やかすなと言ったら、あんな風になってね!」
『そうだったんですか。お力になれて良かったです!』
涼パパ
「涼。あまねさんに、しっかりお礼しなさい。それと、お付き合いされているのかな?」
私は涼の顔を見た。なんて言うのかな…

「まぁな、早く出てけよ!うるせーな!」
涼パパはニコニコしながら
「涼を宜しく頼むね。」
『こちらこそ宜しくお願いします。』
ちゃんと付き合ってるって言ってくれた。
私は友達って言うと思ってたから嬉しかった。
「さーて!部屋もキレイになった事だし泊まってくか?」
『はぁ?初めて来ていきなり泊まりはダメでしょ?』
「いや、気にしないから親。」
『私が気にするよ!今日は夕飯食べたら私も帰る。せっかく距離持って向き合うって決めたんだから!その為に掃除もしたんだよ!』
「そうだよな!わりー何か淋しいなーって思っちゃって、俺らしくねーけど!」
『素直でよろしい!』
また2人で笑いあった!
それから涼パパに挨拶をして涼の家を出て、ご飯を食べて。
久々に離れる。
私も何とかなく寂しくなった。でも距離を保つ為に2人で決めた事。
『離れるの久々だね!1ヶ月とか居たもんね?』
「そうだな!お世話になりました!」
『お世話しました!』
「あまね、俺明日、元カノの家に行って線香あげてくる。墓参りも近ければ行ってくる。」
『うん、そうだね!元カノちゃん涼が来るの待ってるよ。自分の気持ち元カノちゃんに伝えて前向けるように。』
「そうする。久々に仕事も復活しないとな!」
『そうだね!お互い頑張って乗り越えよう!じゃ私、帰るね!』
「おう!またな!」
涼はチュッと触れるだけのキスをして家に入っていった。

久しぶりに車の中が静かで寂しかった。

これから私達、本当に、どうなって行くんだろうか。
そんな事を考えながら私も自宅に戻った。


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