それからも直弘とはセフレの様な関係が続いた。
だけど付き合ってるときより一緒に居るのが楽だった。
怒る事も少ないし彼氏じゃないから機嫌取りしなくても良いし。
でも、また付き合うって話になると
「ちゃんと考えてるから。もうちょい待って。」
いつも、はぐらかされた。
『元に戻らないって事?』
「いや、今は戻らないけど戻る。」
そう言って私の心を引き留めた。
本当にズルい人。
何だかんだ、こんな関係が半年も続いてた。
今日は直弘のアパートに呼ばれたから直弘のアパートで抱き合ってバイバイ。
いつも抱き合った後、悲しくなる。切なくなる。
いつまで続くの?
車に乗ってタバコに火を付けた。
携帯を開くと充から、たくさんメールと着信があった。
"あーちゃん声聞きたいよ"
"あーちゃん今どこ?"
"あーちゃん、また元彼と居るの?"
充は私と直弘の関係を知ってた。
いつも
「あーちゃん辞めなよ!傷付くから!」
って言ってくれてた。
正論なんだけど直弘の"戻る"に心を引き留められてた私は素直に辞めれなかった。
私は充に電話した。
「あーちゃん!やっと連絡取れた!!寂しかったよ!」
『ごめんごめん。』
「また元彼の所に居たの?」
『…うん。』
「今すぐ俺んとこ来て!!ずっと外で待ってるから!」
『わかったよ、今から行くね。』
そして充の所に向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!