第16話

明斗⑥
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2020/03/23 16:10
その後二人で話し合った。
何が正しいのか。
どの道を選んだら幸せなのか。
結局明斗は寮に戻れば1人。
いくらでも香緒里と話せる。
いくらでも言い訳出来る。

「あまね。今の俺が何を言ってもムダだし響かないのは、わかってる。でもさっき言った事は嘘じゃない。あまねと結婚したいし親にも会わせたい。あまねの両親も本当に大好きだ。だから許せないかも知れないけど信じる事は出来ないかも知れないけど、もう1度だけチャンスが欲しい。勝手なのは、わかってる。でも本当にあまねが大好きなんだよ。」
明斗は泣きながら言った。

正直、信用なんか出来ない。
嘘かも知れない。
でも
でも、、、
明斗の居ない生活は考えられなかった。
明斗と別れる選択も選べなかった。
また本当の自分じゃ居られなくなるかも知れない。
それでも明斗の存在が私の中で大きくなっていた。

『明斗。私、凄く辛い。辛いなんて言葉じゃ足りないくらい辛い。明斗の話が全部嘘に聞こえる。信用なんか出来ないよ。でも、それ以上に明斗を失う事が1番辛いし怖い。上手くやっていけるかわからないけど、1からやり直したい。』

「あまね。チャンスくれてありがとう。俺絶対幸せにするから。2度と悲しませない。だから、またこれからも側に居させて下さい。」

私は、ずるいと思った。でも、、、あんな事があったのに明斗の言葉が嬉しかった。

そして1からやり直す結論になった。
明斗は私の両親に土下座して謝った。
父親は怒り狂って泣いていた。

もしかして、私また親を悲しませてる?

もう頭の中が、ぐしゃぐしゃだった。

これから明斗と、本当にやり直す事が出来るのか?

もう何もかもわからない。でも、今は他の選択は無かった。
また、 ここから始めよう。
それしか無かった。
まだ16歳の私には。

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