第8話

高校生活⑥
1,845
2020/04/22 05:39
父親が学校に電話してくれて
私は次の日久しぶりに学校に行った。

「あまね!体調悪かったんだって?」
「元気になったの?」
「待ってたよー!」

たくさんの友達が話しかけてくれた。
嬉しかった。やっと楽しく学校生活を送るはずだったのに。

どちらかと言うと、この頃の私は地味でオシャレなんかしない真面目な風貌。
それがダメだったのか。

「あまねさん、ちょっと話しがあります」

学年主任に呼ばれた。

会議室に連れていかれた。
そこには
校長、教頭、学年主任…
10人の大人達が待っていた。

この時の私、15歳。
突然10人の大人に囲まれて恐怖しかなかった。
その大人達は
「あまねさんは優秀な生徒です。まだ4月ですよ。まだまだ取り戻せます。」

「悩みがあるなら話してごらん。先生達は皆あなたの味方ですよ。」

はっ!?何言ってんの?こいつら?
父親からの電話内容聞いてないのかよ!
さすがに私も黙っては居られなかった。

『入学して1週間。ロッカーが、ぶっ壊されたんだよ!父親から聞いたんだろ?悩み?ふざけんなよ!担任は話しも聞いてくれなかった。何もしてくれたかった。誰を信じれば良いんだよ!』

大人達は静まり返った。

「あまねさん。あなたはどうしたいんですか?」
校長が言った。
『辞めたい。もう耐えられません。無理です。あんな担任と1年も。』
この時、担任は授業中で、その場には居なかった。
「1度、担任の先生とも話しをした方が良いですね。」
今さら何の話!?

そして授業を終えた担任が、やって来た。

「2人で話させてください。」
担任は他の先生に、そう伝えて2人になった。
私の気持ちは担任に対する不信感。
話す事なんて何もない。
担任が話始めた。
「あまねさんは何か勘違いしていますね。私は、あの時あなたに落ち着いて欲しかったんです。それで、あの様に言ったんです。」
はっ!?コイツ何言ってんだよ。
さすがに私も言い返した。
『はっ!?先生何言ってんの?騒ぐなって言ったんだよ!帰れなくて困ってる私を知ってて。ロッカーさえ見てくれなかった。他のクラスの先生が開けてくれたんだよ!先生の言ってる事おかしい!今日久しぶりに学校来たけどロッカーだって直ってない!貴重品は?どこに置くわけ?』

無言の担任。

『とにかく私は、もう無理です。こんな思いしてまで来る必要を感じません。辞めたい!せっかく出来た友達も先生のせいで全部大無し。制服代も全て。親に謝ってよ!あたしに謝ってよ!』

私の怒鳴り声を聞いた校長が、すっ飛んできた。

「あまねさん。少し落ち着いて話しましょうか。とにかく来週テストがあるから、それまでは頑張ってみてくれませんか?」

ふざけんなと思った。
だけど親に申し訳ない気持ちも込み上げてきた。
決して裕福な家庭でもないのに制服代やら何やら全て出してくれてる。
片道1時間半かかる学校までの定期代も。
私は中学でのイジメから逃れ1からやり直す為、あえて遠くの高校を選んだ。

『じゃテストの日だけ、また来る。それまでは絶対来ない。家にも電話するな。』

校長は
「わかりました!しっかり家庭で勉強してください。」

そして学校から飛び出した。

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