第106話

隆二10
125
2020/04/29 14:31
仕事が終わり急いで隆二の所に向かった。
なんか怖くて
近くに直弘が居たら…
だから早く隆二のとこに行きたかった。
隆二の顔見たら安心出来ると思ったから。

隆二のアパートに着くと車の音に気がついた隆二が出て来て迎えてくれた。
「あまね、お疲れ様。おかえり。」
"おかえり"
その言葉が凄く嬉しくて。
思わず抱きついた。
『隆くん、ただいま。』
「なんかあった?」
『何もないよ。ただ会えて安心しただけ。』
「そっか。よしよし!家入って。」
『うん!ただいま。』
「あまね、ちょっと座って。」
『えっ何?』
テーブルの上を見ると可愛いくて新しい灰皿が置いてあった。
「これ、あまね専用ね!」
『わぁ可愛い♡』
「あと、これ。」
隆二は鍵を渡してきた。
「アパートの鍵。今日合鍵作ってきたから、あまねに渡したかった!」
直弘の時の事が過る。
『もらって良いの?』
「もちろん!いつ来てもいいから。俺が居なくても、いつでも!家に居たくない時でも!帰ってきて、あまねが居たら俺も嬉しいから、いつでも来て良いんだよ!」
『連絡しないで来ても怒らない?』
「怒らないよ!鍵渡した時点で怒るのは、おかしいよ!」
『うん、そうだよね!隆くん、ありがとう!』

そして外に食事に行って一緒に眠った。

こんなに想ってもらって良いのかな?
幸せになって良いのかな?
嬉しさと不安が一気に押し寄せてくる。
でも隆二は隆二だよね。
直弘じゃない!比べるレベルじゃない。
私は直弘との5年間で完全に自分を失ったし気持ちに蓋をして生きてきた。
まだ洗脳から抜けれていない感じがした。
でも今は隆二が居る。
そう思ったら時間が掛かるかもしれないけど乗り越えられる気持ちも出てきた。
隆二の腕に抱かれて眠りついた。

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