第99話

隆二③
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2020/04/28 10:14
待ち合わせ時間に指定の場所に向かった。
1人の男性が立っていた。

『隆くん?』
「あまねちゃん?」
送ってくれた写真のままの彼が居た。
『乗って!』
「今日は宜しくね!」
私は何か不思議な気持ちになった。
何て言うのかな、初めて会ったのに初めてじゃない感じ?
なんか直感で
"この人は私を裏切らない"
そんな気持ちになった。

それから色々な所をドライブしながら色々な話をした。
隆くんは、あまりお喋りな人では無かったから私が1人で話してたけど。
私は、おじちゃんの事や直弘の事を話した。
まだ直弘に対する気持ちが少なからず残っていて苦しい事。
何度も死にたい、消えたい、そう思ったけど武司おじちゃんの事があって、2度と死にたいなんて思わないって決めた事。
隆くんは黙って私の話を聞いてくれた。

本当に不思議な感覚を感じる人で恐怖も本当になくて。
色々な所にドライブに行った。
そして休憩でコンビニに寄った。
「俺トイレ行ってくるね。」
『うん』

携帯を見ると宮ちゃんからメールが
"無事か?ヤバイ奴じゃなかった?"
すぐ電話をかけた。
隆くんが来る前に話す。
「無事で良かった!」
『なんか直感で悪い人じゃないかもって思って。怖さ感じないし。』
「じゃとりあえずキープ!ヤバそうならヘルプか蹴り落としね(笑)」
『また隙見て連絡する!』
「わかった!気を付けて!」
そして隆二が戻ってきた。
「はい、これ!運転お疲れ様!」
コーヒーを買ってきてくれた。
『あっありがとう!これ私が大好きなやつ!』
「好みわかんないから適当に買っちゃったけど好きなら良かった!」
本当に私がコンビニで、いつも買うコーヒーでビックリした!
あんなにたくさんの種類からピンポイントに1番好きなコーヒーで。
私の直感間違ってないかも知れない。
そして隆二もタバコを吸う人だったから2人でコーヒーとタバコで休憩。
『この組み合わせが最高なんだよね!』
「そう!まず目覚めはタバコとコーヒーだね!」
『わかるーそれ!同じだね!あと食後と仕事後が1番最高!』
「わかるわかる!何か気が合いそうだね!良かった!」
私も嬉しかった。
小さな事でも同じ事で共感出来るって大事だなって。
そこで隆二の手を見た。
なんかデカイ手!
『隆くん手でかくない?』
「えっ?そう?」
『うん、デカイよ!そんでキレイ!私、手がちっちゃいって子どもみたいって笑われるから羨ましい!』
「手見せてみて!」
私は手を差し出す。
隆二の手と私の手をピタッと、くっ付けて大きさを比べた。
「ちっちゃっ!」
『でっかっ!』
2人で大笑いした。
すると隆二は私の手を握ってきた。
「手、繋いでても良い?」
『えっ、あっうん。』
ドライブしてる時も私の左手を隆二は、ずっと離さなかった。

そして待ち合わせてた場所に戻ってきた。

『楽しかった?』
「楽しかった!色々案内してくれてありがとう!」
『また遊んでね!』
「時間まだ平気?」
『別に平気だけど?何かあった?』
すると隆二は突然キスしてきた。
でも嫌じゃなかった。
「ごめん。急に。ちゃんと言わなきゃね!」
『何?』
「今日初めて会って突然こんな事言うの変かも知れないけど、あまねちゃんが写真送ってくれた時、タイプだったの。でも偽物かも知れないし会うまでは信じてなかったけど送ってくれた写真のままで。まだ出会って2週間だけど毎日電話とメールして性格も好きだなって思って。今日一緒に過ごして確信した。俺、あまねちゃんと付き合いたい!好きです!付き合ってください。」
ビックリした。どうしよ、何て言えば良いかわからなくて困っていた。
「俺ちょっとアソコのコンビニまで歩いてくるから少し1人で考えてみて。今日答えくれなくても良いし!」
そう言ってコンビニに歩いて言った。
しばらく呆然とした
あっ!宮ちゃんに電話しよ!
「どした?楽しんでるか?」
『宮ちゃん、どうしよ。』
「ヘルプ!?」
『ヘルプだけど違うヘルプ。』
「何があった?」
そして全て話す
「とりあえず付き合ってみたら良いじゃん!ダメならゴミ箱って言ったでしょ?別に直くんが心に居たって良いじゃん!見えるもんじゃないし。それに今回の出会い系の目的は彼氏を見つける事!1人目で当たりだったらラッキーじゃん!」
『まぁそうだけど。』
「生理的に受け付けない訳じゃないなら良いじゃん!怖いのは、わかるけど手のひらで男は転がせば良いから!頑張りなさい!引き続き待機します!」
『ありがとう。』
深く考えなきゃ良いんだ。
"とりあえず"で良いんだ。
ダメなら次探せば良いんだ。

そんな事、考えてたら隆二が戻ってきた。
私の大好きなコーヒーを持って。
「また同じの買ってきちゃった(笑)」
『ありがとう!好きだから大丈夫!』
「急に好きだなんて言ってごめん。無理なら断って。返事急いで無いから。」
『隆くん、本当に私で良いの?』
「あまねちゃん、もう、あまねって呼ぶよ!俺は、あまねが良いの!」
『私ワガママ言うかもよ?』
「いいよ!」
『寂しがり屋だよ?』
「いいよ!」
『泣き虫だよ?』
「いいよ!全部いいよ!」
泣きそうだった。
でも、こんな事、昔にもあったなって急に怖くなった。
でも宮ちゃんに言われた
"ダメならゴミ箱"の言葉
ダメなら、やり直せば良い。
とりあえずで良い。
『こんな私だけど宜しくお願いします。』
「やったー!ありがとう!」
そう言って私を強く抱きしめてくれた。
そして優しいキスをしてくれた。
「これから宜しくね。」
『こちらこそ。』
「俺の家に寄ってく?彼女なのに彼氏の家知らないって変だから。」
『うん、行く。』
そして隆二のアパートに着いた。
すると隆二は私の車のナビを触り始め
「これで良し!この場所登録したから、いつでも来れるね!」
『えっいつでも来ても良いの?』
「当たり前じゃん!彼女が来てくれて嫌なんて思わないよ!」
直弘の事が過った。
直弘は突然アパートに行くとキレられたなって。隆二は怒らないの?って。
「散らかってるけど入って。」
『うん。お邪魔します。』
隆二の部屋は物が少なくて間接照明で凄くオシャレな部屋。
『なんかオシャレ!この照明可愛い!』
「あまね!」
『何?』
隆二は私を抱き締めて言った。
「大事にするから。」
『うん。』
そしてまたキスをした。
上手く行くかなんて誰にもわからない。
でも今は、このまま隆二に委ねよう。
「あまね、"しても"良い?」
『うん、良いよ。』
そして私達は…
久しぶりに"彼氏"とセックス。
直弘と別れてから誰とも付き合わないで今日まで来た。
セックスはしてたけど、それは"奈々"として。
あまねとして抱かれるのは久々な事。
心が温かくなった。
出会ったばかり。まだ好きなんて感情は、わからない。
でも不思議な感覚は間違ってなかったのかも知れない。
心も体も満たされる。
そんなセックスだった。


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