目を覚ますと、見慣れない天井。
そして、腹部の痛み。
それと、少しの重み。
重みの正体は、ユンギさんだ。
ずっと、そばにいてくれたのかもしれない。
ユンギさんの髪を撫でると、パチっと目が開く。
私を優しく抱き寄せ、首元に顔をうめる。
無言でしばらく抱き合う。
すると、トントンっとドアを叩く音がした。
ドアが開くと、そこにはジミンさんがいた。
悔しいのかなんなのか、涙がポロポロとこぼれ出した。
ヒラヒラと手を振りながら、病室をジミンさんが出て行った。
そう言って、私の頭を引き寄せ、背中をさすってくれる。
私は耐えきれなくなって、声を上げて泣いた。
私の背中をさする手は大きくて、優しくて、
なによりも温かかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!