…アルスエリア
___聞こえる
鳥の囀りも、葉が触れ合う音も、風の音も…
___*の声も、自分の声も。
…多少のノイズは入っているが。
…なぁ、フリア……
お前が直接此処に来るべきじゃなかったのか?
俺で…良いのか?
“夢を叶える”代行になれているのか?
___髪の隙間を通る風が心地良い
…はは、こりゃあ…フリアの返事だな
そう思い、一度瞬きをしてから*を見つめる
…ああ、やっぱり
___鈴の音がする
…その子に会うのは初めてだ。
でも、なんて言っているのか、なんて返したらいいか、
誰なのか、分かる。
ホワイトレースフラワーの花冠を被った…女の子
…多分、花冠はさっき作ったものだろう。
………此処じゃあそこら中にあるからな
嗚呼、おかしい
此処じゃ何もかもが“普通”で、
しかもそれが“当たり前”に感じる
ずっと病室生活してんだ、少しの外出ぐらいした方がいいだろうしな…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!