第39話

帰れない場所
18
2023/02/09 22:08

















少し廊下を歩いて、曲がり角を右に曲がる。
暖簾を通ったら暖かい日差しがお出ましする。

日が当たりやすい場所が欲しくて、
屋根を飛び出すくらいに幅を長く作った縁側を歩く。

縁側 こ こに座ると、毎度日差しの暖かさを感じられた。
タオイ
タオイ
(…そう言えば、)
桜がよく、此処ではしゃいでたな。
天気が良くて少し暑い日とか、特に。
縁側の日の当たる部分に寝っ転がって、日向ぼっこをしていた。

大の字で寝っ転がっていたから、
よく麗鳳に邪魔だと文句を言われていた。

皆がその様子を笑って。
幸せ…だった。
心の中で思い出に浸っては、
我に帰った様に左を見遣る。

自然と足が止まった。
タオイ
タオイ
(…トワラースエリア)
此処には全てが詰まっている。

思い出も、記憶も。

テーブルと椅子。中くらいのラグ。
少し小さめの棚に入ったボードゲームと、少しの本。
筆記用具と工作道具が入った文房具入れ。
仕舞われた折り紙とコピー紙。

酷く居心地の良かった場所。
タオイ
タオイ
トラワースエリアに踏み込み、
奥のドアを開ける。


此処はフェースエリア。




少し狭めの部屋。
窓一つに遮光カーテンがかけられていて、部屋は薄暗い。
窓側にある少し小さい棚の上にはランタンが置いてある。
並んだ本棚にはびっしり本が入っているけど、
ジャンルはぐちゃぐちゃになっていない。
タオイ
タオイ
(…ガーシュが毎日、直してくれてたのか)
…ドアを閉めないまま部屋を出て、トワラースの出口に向かう。




タオイ
タオイ
(…ちゃんと外に出ることって、あんまり無かったな)
外に出てたのはチアとフリアだったし。
俺は外に出る機会があんまり無いからな…
___静まり返ったトワラースを後ろに、
近くの花畑を見にしゃがんでみる。
タオイ
タオイ
(…この花、作ってないんだけどな)
季節感が無いからどんな花も咲く。

だからスイートピーと、エンドウだけ咲かせておいた。

なのに此処には、ブルースターやカンシロギク、その他にも、
心当たりの無い花が沢山咲いていた。

何故かはすぐ分かった。

咲いていた花は全部、
皆の好きな花や、皆の誕生日の誕生花だったから。
タオイ
タオイ
(…フリアが咲かせたんだろうな)
タオイ
タオイ
(ブルースターはユウが花を好きになったきっかけの花。)
タオイ
タオイ
(桜は俺の誕生花で、麗鳳が好きな花)
皆の好きな花や誕生花が、
毎日常時咲いてる訳ではなかったけど。
タオイ
タオイ
(咲く花は全部、フリアを含めた皆の好きな花や誕生花だけだった)







タオイ
タオイ
(…そろそろ、行くか。)
そう思い、立ち上がって振り返り、気付く。

青い花が見えたことに。
タオイ
タオイ
(………?)
あんなに綺麗に青い花って、あるとしたら
タオイ
タオイ
(…なんで、此処に咲いてるんだ?)

タオイ
タオイ
(これは……人工的にしか咲かない花じゃ…)







タオイ
タオイ
………。
タオイ
タオイ
(…分かってる。ちゃんと。)
タオイ
タオイ
(そんなに心配しなくても、大丈夫だよ)




「青い花」に手を伸ばす。

生えていたのではなく“刺さっていた”それは、案外簡単に引き抜けた。






タオイ
タオイ
…じゃぁ、な







もう、此処には戻って来れない。





誰も居ない、風の音だけがするトワラースには、
一輪の「青い花」だけが落ちていた。




プリ小説オーディオドラマ