第11話

#10
471
2019/08/26 15:05
~薮side~

小さな手が俺の左手を握っている。
こんなことしてくるなんて思いもしなかったから
頭の中はプチパニック中。
彼女の方を見ると恥ずかしそうに下を向いていた。
微かに震えている彼女の手。
薮 宏太
……震えてる
あなた

?!/////

ぎゅっと小さな手を握ると
彼女は驚いた顔でこっちを見ていた。
薮 宏太
怖かったんだね
あなた

………

また下を向いて、逆の手の拳を強く握っていた。
そんな姿を見るのが辛くて
俺は優しく彼女を抱きしめた。
あなた

っ…!/////

ふわっと香る香水の匂い。
薮 宏太
泣いて…いいんだよ?
と言った途端
俺のシャツを力強く握りしめて泣き始めた彼女。
あなた

グッ…グスッ…

慰めるように優しく頭をポンポンとすると
シャツをより一層強く握ってくる。
薮 宏太
ねぇ、シャツ握りすぎ…笑
あなた

ご、グスッ…めん…グスッ…なさい…グスッ

素直にシャツを握る力を弱めた彼女が
なんか愛おしくて
俺が逆に強く抱き締めそうになった。
《素直すぎだろ…///》




~数分後~
彼女の声が落ち着いて聞こえないぐらいになった。
あなた

あ…あの…

薮 宏太
ん?なーに?
耳元で聞こえる小さな声。
あなた

も、もう…は、離して大丈夫です…/////

薮 宏太
えっ…!あ、ご、ごめん!
ぱっと離すと照れている彼女。
暗くて顔色は分からないけれど
たぶん、真っ赤なんだろうな。
薮 宏太
//////////
今までの行動が蘇ってきて恥ずかしくなる。
あなた

ご、ごめんなさい…慰めてくれてたのに…

薮 宏太
え、あ、いや…// 大丈夫だよ
薮 宏太
もう…大丈夫?
あなた

はい! もう大丈夫です!

とニコッと笑ってきた。
薮 宏太
っ…///
胸が一瞬きゅっとなった。
薮 宏太
…/// あ、今日お祭り行ってきたの?
あなた

あ、はい! 友達と行ってきました

元気になったのか少し明るく話す彼女。
薮 宏太
浴衣着たんだね
あなた

そーなんですよね…笑
もう歩くの大変で…笑

薮 宏太
…似合ってるよ?
あなた

えっ…/////

薮 宏太
かわいい…
勝手に出てきた言葉に俺も驚いていた。
あなた

あ…ありがとうございます/////

また恥ずかしそうに下を向いてしまった。
薮 宏太
え、あ、いや、あの…その///
勝手に出てきた言葉に焦ってしまって
次の言葉が思いつかない。
薮 宏太
そ、そろそろ帰ろっか///
あなた

は、はい///

助手席のドアを開けると
彼女は驚いた表情でこっちを見ていた。
薮 宏太
何してんの?笑
早く乗って?
あなた

えっ

薮 宏太
送ってくから
あなた

いやいや!
すぐそこなんで送ってもらわなくても…

薮 宏太
いいから。
こんな遅い時間に1人でいたら
またさっきみたいなやつに絡まれるよ?
あなた

っ……

彼女の手首を掴んで車の方に引き寄せると
彼女は「お願いします」と素直に車に乗った。





彼女の一つ一つの行動に










なんでこんなに










胸が高鳴るんだろう。

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