第13話

#12
478
2019/09/03 15:23
あなた

もう少しだけ……いても…いいですか?

ちらっと薮くんを見ると
驚いた表情でこちらを見ていた。
あなた

す、すみません!///
じょ、冗談なので…その…帰りま…

薮 宏太
いいよっ
あなた

えっ

薮 宏太
俺も…もっと話したいし…///
目線を逸らして照れながら言っている薮くん。
あなた

あ、ありがとうございます/////

薮 宏太
うん///


あれから2分ぐらいが経ったけどお互い無言のまま。
《ど、どうしよう。
私が言い出したんだから何か言わないと…》
あなた

あ、あの…

薮 宏太
あっ!
あなた

ふぇっ?!

突然大きな声を出してきたから
びっくりして変な声が出てしまった。
薮 宏太
これ渡すの忘れてた
あなた

…?

薮くんはバックをあさって
小さな何かを取り出した。
薮 宏太
これ、君のでしょ?
あなた

あっ!

《生徒手帳!》
あなた

なんで…薮くんが持ってるんですか?

薮 宏太
この間
公園で会った時ベンチに落ちてて
俺が拾った時には
もう君はいなかったからさ
《カバンが落ちちゃった時か》
薮 宏太
だから、届けに来たんだ
薮くんは、はいと言って生徒手帳を差し出してきた。
あなた

ありがとうございま…

生徒手帳を受け取ろうとした時
差し出された生徒手帳を引っ込まれた。
あなた

えっ?

薮 宏太
ただ返すだけでもつまらないからー…
何か企んでいるような顔をする薮くん。
ドキッドキッ
薮 宏太
俺の好きなとこ10個言ってよ!
あなた

えっ?!

《好きなところ10個?!》
薮 宏太
俺のファンなんでしょ?
なら簡単じゃん?
あなた

いや…///

《薮くんの目の前で好きなところ言うって…///》



恥ずかしくて薮くんの顔を見れなかった。
薮 宏太
…やなの?
少し冷たいトーンになった薮くんの口調。
あなた

いやでは…!///

ばっと顔を上げてしまった。
薮 宏太
じゃあ、言って?
いつものふにゃっと可愛らしい笑顔ではなく
ニヤッと笑うドSの表情で笑っていた。
《引っかかった…》
少し冷たいトーンで言って
焦らせてから言わせる作戦にまんまと引っかかった
バカな私。
あなた

は、はい…//////

あなた

笑顔がかわいいところ
歌が上手なところ
常に周りを考えられてしっかりしてるところ
ダンスが上手なところ
背が高くてどんな服装も似合うところ
「おじいちゃん」といじられてにこにこ笑っててかわいいところ
皆に優しいところ
最年長なのに子供っぽくてかわいいところ
いくつになってもかっこいいところ
スイッチが入るとドSになるところ

薮 宏太
っ……
急に黙り始めた薮くん。
《引かれちゃったかな…》
あなた

ひ、引いちゃいました…?

薮 宏太
い、いや…
そういうわけじゃなくて…///
徐々に赤くなる薮くんの耳。
薮 宏太
その…なんというか…///
めっちゃ恥ずかしい///
耳を赤くして口元を手で抑えながら
目をそらす薮くん。
その姿は
ライブでもテレビでも見たことのない表情。
あなた

っ、わ、私も…恥ずかしいですよ…///

《薮くんが照れるから
私も話せなくなっちゃったよ…///》









この時間がずっと続けばいいのに…。









神様…このまま時間を止めてください…。

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