ちらっと薮くんを見ると
驚いた表情でこちらを見ていた。
目線を逸らして照れながら言っている薮くん。
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あれから2分ぐらいが経ったけどお互い無言のまま。
《ど、どうしよう。
私が言い出したんだから何か言わないと…》
突然大きな声を出してきたから
びっくりして変な声が出てしまった。
薮くんはバックをあさって
小さな何かを取り出した。
《生徒手帳!》
《カバンが落ちちゃった時か》
薮くんは、はいと言って生徒手帳を差し出してきた。
生徒手帳を受け取ろうとした時
差し出された生徒手帳を引っ込まれた。
何か企んでいるような顔をする薮くん。
ドキッドキッ
《好きなところ10個?!》
《薮くんの目の前で好きなところ言うって…///》
恥ずかしくて薮くんの顔を見れなかった。
少し冷たいトーンになった薮くんの口調。
ばっと顔を上げてしまった。
いつものふにゃっと可愛らしい笑顔ではなく
ニヤッと笑うドSの表情で笑っていた。
《引っかかった…》
少し冷たいトーンで言って
焦らせてから言わせる作戦にまんまと引っかかった
バカな私。
急に黙り始めた薮くん。
《引かれちゃったかな…》
徐々に赤くなる薮くんの耳。
耳を赤くして口元を手で抑えながら
目をそらす薮くん。
その姿は
ライブでもテレビでも見たことのない表情。
《薮くんが照れるから
私も話せなくなっちゃったよ…///》
この時間がずっと続けばいいのに…。
神様…このまま時間を止めてください…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!