一緒に食べるのはいつも
「彼女たち」
私は急いでお弁当を食べる。
じゃないと全部取られちゃう。
何を言われても喋らない。
それが約束。
それさえ守ればもらえるから。
残飯。
人はみなそれを、大事な食料を「残飯」と呼ぶ。
彼女たちの苦手な食べ物が回ってくる。
彼女たちは毎日会議をする。
だれがウザいか。だれを落とすか。だれを上げるか。
リーダーがそう言えば私は喋れる。
これも私の仕事。
これ以上私みたいな人を出したくないから。
教室が笑いに包まれる。
和やかだなー
授業は楽しい。
はっきり言うと毎日が楽しい。
いじめられてるのに?ってきかれるけど
もういじめじゃないよね、みんな優しい
そんなことを考えてる内に学校は終わった。
みんなが部活の日は安心して帰れる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!