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先程の気まずい空気は一切なくなり、たわいも無い話をしながら冊子作りを再開する。
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冊子作りを再開してから30分。
2人でやったからか思っていたよりも早く終わってしまった。
私は凄く不器用で、こういう冊子を作るのは苦手。
だから、今回もあんまり力になれなかったと思う。
だって先生が作った冊子の数と私が作った数全然違うもん。
そう言って先生が差し出してくれたのは紙パックに入っているイチゴミルクだった。
なんで先生はこういうことをしてしまうのだろう…。
私、先生の事もっと好きになっちゃうじゃん。
ふと、時計を見ると完全下校時刻を大幅に過ぎていた。
もうほとんど6時に近く、外もだいぶ暗くなってしまった。
これ、そろそろ帰らないとまずいよね。
本当はまだ先生と一緒に居たいけど…。
先生は小さく呟きながら難しい顔をしてる。
私、一人で帰れるし先生には申し訳ないよ、、
そう言って先生は何やらスマホを取り出した。
そして、先生にスマホを出すよう促され自分のスマホを先生の前に差し出す。
スマホを取り出す先生を見てまさかとは思ったが本当に的中してしまった。
先生とLINEを交換出来たという嬉しさで胸がいっぱいになる。
そう言って笑う先生の笑顔はすごく眩しかった。
先生の笑顔は私にとって眩し過ぎて直視することが出来ない。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。