岩本side
たまたま帰り道にあなたとあった。
ジェシーには悪いけど俺は正直あなたのこと
好きだった。
多分ジェシーが会うよりも先に。
だから、あんな顔してる彼女を放っておけなかった。
『 ん、おいしい 』
岩本「 だろ、ここお気に入りなんだ 」
『 岩本くんってなんでこんなののんでも
太んないの、、 』
岩本「 あなたも充分細いから笑 」
『 そうかなー、、でもカフェの賄いで太りそう 』
岩本「 ん、まだあそこで働いてんの? 」
『 え、私がカフェで働いてるの知ってるの? 』
あ、しまった。
あなたは俺の事覚えてないもんな。
当たり前だけど。
岩本「 …実はさ、あそこ数年前行きつけ
だったんだよ 」
『 そうなんだ。じゃあジェシーと出会う前に
会ってたかもってことだね 』
そのことに触れると言っちゃいそうな自分が怖くて
俺は話題を変える。
岩本「 ねぇ、口入れすぎ笑 」
『 だっておいしいもん笑 』
しばらく他愛のない話をしてタピオカも飲み終わる。
岩本「 あ、俺捨ててくるよ。ここにいて 」
『 わかった、ありがとね 』
あなたになにかないように急いでいって
急いで帰らないと。
そう思って戻ると携帯片手に震えるあなた。
岩本「 あなた?、、 」
『 岩…本くっ 』
そういって振り返る彼女の目には涙が溜まっている。
多分泣くのを我慢しているのだろう。
岩本「 どしたの、なんかあった? 」
『 こ、れ… 』
そう言って渡してきた彼女の携帯には
【遭遇情報】
今 日 の 朝 1 1 : 0 0 頃 , 渋 谷
S i x T O N E S の ジ ェ シ ー
他 の メ ン バ ー の 姿 は な く 、
女 性 と 歩 い て い た そ う で す 。
との文字が。
いやいやジェシーがそんなことするわけない。
だからこそ彼女も泣かないんだろう。
でも遭遇情報が出てるのは本当で、
そこにはジェシーを叩くコメントで溢れかえる。
でも何故か事務所はなにもいわない。
とりあえず俺はあなたの手を取る。
『 、、え? 』
岩本「 思う存分泣けるように。
俺の家来なよ 」
『 、、、ありがとう 』
そして俺はあなたと俺の家に帰る。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。