第31話

あの場所へ
906
2021/03/22 14:27
あなたside

私たちはまずお兄ちゃんが亡くなった場所に

行ってみた。

やはりそこは廃墟になっていて。


「 …入ってみる? 」


『 いいのかな、 』


「 大丈夫だよ、バレたら一緒に怒られよう 」


背中をジェシーに支えてもらいながら

恐る恐る足を踏み入れる。

大丈夫、私はひとりじゃないから。


『 …だいぶ取り壊されてるからまたよかっ… 』


目に飛び込んだのは壁に飛び散っている血。

さすがにもう茶色く、いや黒くなっていたけど

まるでその瞬間を見たようにお兄ちゃんの

泣き叫ぶ声が聞こえるような気がする。


『 はぁっ、、はぁ、、お兄ちゃん… 』


「 あなたっ!、、ごめん、もう出よう 」


私の足はその場から動けなくて。

そんなことがあるんけないのに

ここから出ていったらまた何かを失ってしまう

気がして。


『 ジェシー…私を置いて帰って?、、 』


「 そんなことできるわけないでしょ。

大丈夫、ここを出ても俺はずっと傍に

いるから。ね? 」


『 私といたらジェシーまでいなくなるよ。

きっとなにか起きちゃう…。

もう失いたくない!、、 』


私の心は限界に達していて立ち上がらせようと

してくれるジェシーの手を振り払う。

涙は出なかった。

一周まわって感情が出なくなってしまった。

やっぱり私はこうやって生きててはいけない。

私のせいで、、


『 私のせいで!

「 あなた、これ俺が昔汚しちゃったやつじゃん 」


『 …え? 』


「 せっかく綺麗だったし賃貸だったのに

絵の具飛ばしちゃって追い出されたのにさ

結局廃墟になってるのかよーっ 」


『 ジェシー、なにいって

「 懐かしいなー! ここが俺の部屋で、ここが

あなたの部屋でさ 」


「 … 」


きっとジェシーなりの優しい行動。

違う記憶にすり替えようとしてくれてる。

でもね、無理だよ…そんな顔して笑わせて

ごめんね、、


?「 …誰がいるの? もしかしてあなた?、 」

プリ小説オーディオドラマ