第10話

冬 でーと
1,312
2021/03/07 02:02
あなたside





「 ねー、嫌いなものとかある? 」


『 んー、、特には? 』


「 じゃあ焼肉食べに行こ! 」


『 お、賛成 』


「 へへへ〜 」


『 どしたの急にそんな笑い方して 』


「 いや、なーんもっ 」


『 ふーん、そっか 』


ジェシーくんってたまに疎いよね。

私これでもお洒落してきたんだけどなぁ…。

ま、別に好きとかじゃないから気づかれなくても

いいんだけどねっ。


「 ついたー! 」


『 わ、いい匂いする 』


「 何食べる? 」


『 んー、これ食べたいっ 』


「 えーっ!俺と一緒じゃん!AHAHA!

すいませーん! 」


声ほんとにでかい。

個室でもバレるよね、これは。


「 ねー? 」


『 ん? 』


「 24日空いてる? 」


『 え、クリスマスイブ? 』


「 うんうん 」


そう言われたので携帯を取りだして確認する。


『 お、ギリギリ空いてる。25はバイトだった 』


「 じゃあデート…しよっ 」


『 ん、いいよ 』


私があまりにさらっというから驚いたのだろう、

食べようとしていたお肉を落とす。


『 ジェシーくん落ちてる落ちてる 』


「 あ、ほんとだ、、 てかほんとにいいの? 」


『 うん、そっちこそクリスマスライブ的なのは

ないの? 』


「 うん、俺も25だけだよ 」


『 そっかそっかちょうど良かったんだね 』


「 … 」


急に黙り込んで眉毛を8の字にしている

ジェシーくん。

いつもと違う雰囲気にちょっと戸惑う。


『 体調悪い? 』


「 え?あ、、いや。ただ、それが多分

会うの最後なんだよなぁーって思ったら

寂しくなっちゃった笑 」


そうやって笑う君はやっぱり悲しそうで。

ずるいな、そんな顔されたら私までそう思えてくる。

けどそれは口には出さなかった。


「 ねぇ、 」


『 今度は改まってどうしたの? 』


「 最後のデートは素敵にしたいからさ、

こういう話は今したいんだけど、、 」


私はすぐに察した。

きっと私の過去のことなのだろう。

前までは誰にも話したくなかった。

けど、この人になら話していいと思った。

きっと会えなくなるからいいとかじゃなくて

この人になら と思った。


『 私の過去の話だよね?いいよ、話そっか 』

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