あなたside
「 げほっ…誰ですか? 」
インターホン越しでもわかるしんどそうな声…。
『 あなた…です、、 』
というと切り忘れたインターホンから
ドタドタという音がしてドアが勢いよく開く。
『 お見舞いきたけど、迷惑だったりする? 』
「 いや、むしろ嬉しい!けど、なんでここが? 」
『 …とりあえず悪化したらあれだから中入ってから
話そっか 』
そういって私は彼を支えながらリビングに行く。
『 苦手物とかアレルギーってある? 』
「 いや、ないけど…げほげほっ 」
『 じゃあ台所借りるね。寝てねいいからね 』
「 …ありがと 」
彼のその言葉を聞いて私は髪を束ねて作り出す。
薄味のがいいよね…塩分は梅干しでとろう。
『 よし、完成かな 』
「 、、いい匂いがする 」
『 めちゃめちゃいいタイミングで起きるね 』
「 あなたの料理初めて食べるなぁっ 」
『 しんどいだろうから私が食べさせるね 』
「 え、でもっ、、」
『 病人は看病人の言うことを黙って聞く! 』
「 はい、、笑 」
『 はい、あーん 』
「 んっ、、 」
『 熱い?大丈夫? 』
「 んーまいっ 」
そういうと彼は子供のような微笑み方をする。
食欲はあるみたいで全部食べてくれた。
氷枕しいたり冷えピタを貼ってジェシーくんと
話をする。
『 ここにきたのは松村さんのおかげだよ 』
「 え?北斗が? 」
『 そう、教えてくれたの 』
面倒くさそうだからジェシーくんの話を
聞いたことは内緒にしておこう。
『 ジェシーくんってほんとにみんなに
愛されてるよね 』
「 そう、かな、、。そういえば、俺あなたの
話聞きたいな… 」
『 …また話せる時が来たら話すよ 』
「 そっかぁー。でも、それでも俺は
そばに居るからねっ 」
とろんとした目で見つめながらそういうと
私に寄りかかってくる。
『 え、ちょっと? 』
「 ごめん、今はこれが一番楽みたい 」
『 今日だけだからね?、 』
そういうとジェシーくんはすぐに眠りについた。
私はしっかり寝れてるのを確認して
氷枕と冷えピタを新しいのに変えて
家を出た。
『 早く元気になって、店に顔出てよね… 』
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。