私達の前で困惑している黒髪の子。ま、そりゃそうだよね。私達が一向に喋ろうとしないから。
…名前知らないし、取り敢えず名前だけでも教えてもらわないと!
この黒髪の子はゴンね。
…それにしても…此処って、何処だろ…
幻想郷にこんな所合ったっけ?海と言えば…村紗かな?でも、それだと場所が違うし…
ええい、もうゴンに聞く方が早い!
…「くじら島」…?
そんな所、幻想郷に無かった…
隙間妖怪の手紙、一回読むか。ちょーっとだけゴンにはフランと話してもらえば良いしね!
二人からちょっと離れた森の中で手紙の入っている便箋に手をかける。手紙を出し、そのまま読んだけどごちゃごちゃしてるから内容を簡素に纏めようと適当に木の棒を拾って地面に書いた。
1,此処は幻想郷では無く、「ハンター」と言う職業がある異世界。
2,この異世界には「〜程度の能力」とは違う、また別の能力がある為、それについて調べてその力を悪用する輩が出ない様に阻止するのが私達の一つ目の目的。
3,「2」の事をするには先ず自分達もその能力を習得する。因みに早くても最初の段階が出来るまで半年かかる。
4,だが、「3」の最初の段階は「じっくり地道に習得する」のと「一気に最初の段階を終わらせてから基礎を習得する」と言う二つの習得法がある。
5,どちらを選ぶのも自分達の自由だが、その異世界には次々に異変が起きるので、それを解決するにはその能力を早めに習得する方がいい。
6,その異世界で起きる全ての大まかな異変を解決すると、強制とは言わないが「帰る」か「帰らない」と言う二つの選択肢で幻想郷で何時も通りに生きるか、その異世界で生きるかと言う事が決まる。
私は木の棒を力任せに思いっきり針葉樹に向かって投げる。
ダンッ、と明らかに木が倒れた音がしたのは気にしないでね。何が「幻想郷の賢者」だ!ただの吸血鬼に任せてる奴が賢者な訳無いでしょ!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。