その日以降、あなたに会いに教室へ行ったり、帰り少し尾行したりしていた。
でも、あいつが現れた。
祥生だ。
仲間を連れてやってきやがった。
しかも、よりによって敵である原高だ。みんながピリピリしている中、祥生だけは違った。あなたを見るやいなら顔色を変えて飛びつく。
覚えてないのだとか、あなたと名前を呼んでみたりだとか。刺激するようなことばかり。俺でさえ我慢して口数を減らしたり、話す内容を考えたりするのに、こいつは身勝手すぎる。
そして、祥生はまたねと言って帰って行った。正直あの時、またねがないようにどうすればいいかで頭がいっぱいだった。
ピコンっ
その夜、祥生からLINEの追加が来て、追加すると直ぐに電話があった。
祥生は俺の弱みをよくわかっている。
喧嘩では勝てれないとなったら、こーゆー事をしてくる卑怯者だ。でも、あなたのためなら従うしかなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!