祥生に脅されてあなたを渡してしまった。
祥生に脅された一言。
俺にとっての1番の弱みを1番知られたくない奴が知っている。
いつもの音楽室のソファで寝転んで昔のことを思い出していた。
あの時、俺があそこにいなかったら。
あの時、俺が強かったら。
あの時、体を張っていたら……。
考えていたらキリがない。
でもそれくらい今の俺にとっては重要な出来事で
同じ過ちを繰り返しては、いけない。
Prrrrrr
いきなり祥生から電話がかかってきたと思ったら、あなたが倒れた?しかも、急いで渡り廊下に出て外を見るとあなたを担いだ祥生と拓実がいた。
階段を駆け下りて祥生の元へ駆け寄る。
あなたをあの屋上へ連れていった祥生。
腹が立って仕方ない。
怒りを抑えきれず胸ぐらを掴む。
俺は2人を置いて、あなたを担ぎあの音楽室へ。
目の前でスースー言いながら寝ているあなた。
本当に倒れたのかよって思う。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!