気づいたらあなたの髪の毛を引っ張っていた。あなたも泣きそうな顔をしている。
髪の毛を引っ張られても動じなかったのに、どうしちまったんだよあなた。
もう俺の知ってるこいつはいないんだ。
そう思うと余計にやるせなくなる。
もぉ顔も見たくない。
このまま消えてしまいたい。
その後も喧嘩をしては自分の弱さを隠している。そんな日常をすごしていた。
Prrrr
いきなりなった電話の相手はあなただった。
心臓がドクドクと脈打つのがわかる。
出ようか出まいか……
電話に出るといきなり耳元で大きな声。
気づいた頃には切れていた。
でも、相当焦っている様子のあなた。
どうしたのだろうか。
俺は胸騒ぎがして急いで病院まで走った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!