テヒョンside
ザワザワ
俺は、今…
初めて夜のクラブに来ている。
最近あなたのことしか頭になくて
モヤモヤしていた
だから、気分転換に来てみた
正直言うと、あまりこういう
男女がじゃれ合うような場は苦手
踊る気分にもならなかったから
1人カウンターに腰をかけて
友達が楽しんでいるのを
ただ眺めていた──
.
彼女は、しつこく言い寄ってきた
今にでも泣きそうな顔で。
俺……その顔ダメなんだよな。
あーあ、承諾しちゃったよ。
昔から流されやすく
お願いとかされると断れない。
これじゃ、何も前と変わってねぇな…
でも、この出会いをキッカケに
あなたを忘れられるんだったら…
きっと、楽になって
アジュンという彼女に尽くせるのだろうか
承諾した以上…
彼女としてこれから好きになっていかなきゃな
アジュンは、俺の手を引いて
優しく笑いかけてくれた
何故か、笑った顔が
あなたと少し似ていた
安心感があって、この子なら
ちゃんと好きになれるかもって感じたんだ
.
友達と別れると
アジュンは、手を握ってきた
.
俺は、そっと握った手に
力を込めて
自分を言い聞かせた……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。