なんて言いながら、
彼はヘラヘラしてる
その態度に怒りが増してくる
今度は、嘘つくんだ…
バレバレだよグク
グクの頬に落としきれていない
口紅の跡が残っているので確信した
すると、
またあの時のように
ニコッと笑みを浮かべる
私を抱きしめていた手を離し
頭をかきながら呆れたように言い放つ
意地悪そうに下から見下ろしてくる
グクを荷物をまとめて
最後に私の近くで
.
また、
ニコッと笑って
私の家からあっさりと出ていった。
私は、その場で床に座り込んだ
なんで、あんな人に恋してしまったのだろう。
グクがあんな軽い人だったなんて…
今まで
嬉しかった言葉を行為も
全部全部偽りだったんだ。
なのに、一人で舞い上がって
バカみたい。
はやく、グクを忘れたくて…
写真も連絡先も削除した。
あんなクズ野郎のために
泣きたくないのに
涙はどんどん溢れ出てくる
その日を境に
私は、大学もバイトを休みっぱなしで
引きこもり生活になってしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!