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第1話

僕と君
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2018/09/06 07:09
泣き虫が笑った。
いつも泣いてばかりだった君が、その大きな瞳に涙を浮かべたまま、にっこりと笑った。
あの時の君の笑顔が、どうしても忘れられなくて。
俺はその笑顔に、今だってすがり付いているんだ。


「こっちが莉央ちゃんで、こっちが玲央くん?
本当にそっくりねぇ」
僕たちは双子。
誰が見ても、みんな「そっくりね」と笑い、親でさえ間違えるくらいだ。
いちらんせいそーせーじ、っていうらしい。
でも、僕とリオは全然違う。
僕の方が少し背が高くて、お兄さんだ。
かけっこも得意だし、ケンカだって強い。

リオは運動が苦手で、代わりにお勉強が得意。
覚えるのも得意で、本もたくさん読むからいろんなことを知ってる。
でも、とっても泣き虫だ。
僕が守ってやらないと、一人じゃ心細くていつも泣いてる。
だから、僕とリオはいつも一緒。
これからも、ずっと、ずっと。

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