“コンコン”
朝
光寿の部屋
祝笑「兄上、お話しがあるので」
祝笑が部屋に入って来る。
椅子に座っている、光寿。
祝笑「兄上、そっ」
と、
ベッドの方に誰かを見つける。
ベッドに歩みよる。
寝ている死朧。
祝笑「ずいぶん穏やかに寝ていらっしゃいますね。
昨日は、優しくして差し上げたので?」
光寿「だったら」
祝笑「別に」
ニコッと、笑う。
用件を、光寿に話す。
祝笑「それでは、30分後にまた来ます。
風呂に湯を、はって来ますので。」
光寿「本当は、ハラワタ煮えくりかえってんだろ?
知らない所で、やってろって」
祝笑の、顔から笑顔が消える。
祝笑「そう言う所が嫌いなんだよ。
兄上様。」
光寿「オレが、オレの物に何しようと
勝手だろ?」
“バタン”
勢いよく扉を閉めて歩いて行く、祝笑。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。