やばい。緊張してきた。
ついにこの日…花火大会当日が来てしまった。
今日の服おかしいかな、髪に寝癖ついてないかな、とか、女子みたいなことを気にしている。
今日のって、デートだと思ってもいいのかな…
今日、もう1回告白しよう。
陽葵を困らせてしまうことは分かっている。
でも、それを口実にして告白しないんだったら、振られた時の恐怖から逃げているだけだ。
多分、このチャンスを逃したら、もう一生言えないだろう。
今日は、陽葵にとって最後の花火大会になるかもしれない。
いつの間にか、背後に母さんが立っていた。
誰にも言ったことなかったのに…
母さん陽葵のお母さんにも言ってないだろうな?
そんなことを考えながら、家を出た。
トントン。
ガラガラッ。
俺達は、お互いを見つめ合ったまま固まってしまった。
ガラガラッ。
俺達は、屋上へ向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!