第5話

気づかないフリ
95
2019/05/28 12:00
遼太郎
遼太郎
いや~、本当、お前ら仲良いね~
放課後の部活中、遼太郎は俺に言った。
馬亊
馬亊
そんなことないだろ
遼太郎
遼太郎
だって、俺からすると、リア充のノロケにしか聞こえねーもん
馬亊
馬亊
付き合ってないし
遼太郎
遼太郎
でも、ぶっちゃけ好きだろ?
馬亊
馬亊
…そんなこと簡単に言えない
遼太郎がいつ俺の気持ちに気付いたのか分からないけど、その気持ちを否定することは出来ない。
女子
キャー!
女子
戸羽くんと新木くんかっこいい~‼
呑気に話していると、女子からの黄色い歓声が飛び交ってきた。
馬亊
馬亊
お前やっぱりモテるな
遼太郎
遼太郎
馬亊もだろ?(笑)
馬亊
馬亊
俺は別に…
女子
戸羽くん!このタオル使ってください!
遼太郎
遼太郎
え?まじ?サンキュー!
洗って返すよ~
女子
あっ!じゃあ私からはポカリを!
女子
私からは…
…やばいな、こいつ。
俺は、そっとその場から離れた。
陽葵
陽葵
馬亊!
馬亊
馬亊
え、陽葵?に、早乙女も
陽葵
陽葵
部活お疲れ様!
馬亊
馬亊
あー、ありがとう
先に帰らなかったのか?
早乙女
早乙女
この子がどうしても新木くんの部活見たいっていうから、仕方なく残ってたの
馬亊
馬亊
そうだったのか…
でも、陽葵、あまり外には…
陽葵
陽葵
あ…そっか、そうだったね…ごめん
馬亊
馬亊
…いや、外に出るなっていう方が無理だよな
気をつけて帰れよ
陽葵
陽葵
…うん!
俺は、陽葵の頭を優しく撫でた。
馬亊
馬亊
じゃあ早乙女、よろしくな
早乙女
早乙女
うん、また明日
陽葵
陽葵
馬亊バイバイ!
馬亊
馬亊
…バイバイ
俺は、二人が見えなくなるまで手を振った。
遼太郎
遼太郎
…羨ましい
馬亊
馬亊
…え?
遼太郎
遼太郎
出島とあんなに身近なんだぞ?
男の憧れじゃねーか
馬亊
馬亊
…そんなんじゃないって
俺はあくまで陽葵の「保護者」だ。
それ以上も以下もない。
陽葵が幸せでいられるならそれでいい。
たとえ、俺の気持ちが届かなくても…

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