第13話

二人きり
63
2019/08/05 01:56
早乙女
早乙女
……
馬亊
馬亊
……
水野
水野
……
俺達は、話すことがなかったからか、全員が無言になった。
水野は、早乙女がさっき言ったこと、聞こえてたのかな…
最初に口を開いたのは、早乙女だった。
早乙女
早乙女
…っ、私、お手洗い借りてもいいかな?
馬亊
馬亊
あー、いいよ
場所分かる?
早乙女
早乙女
うん、ありがと
早乙女は、部屋を出ていった。
水野
水野
…陽葵ちゃん、よく寝てるね
馬亊
馬亊
ああ、こいつ、なかなか起きないからな
水野
水野
へぇ~
いつも馬亊くんが起こしてるの?
馬亊
馬亊
いや、朝はちゃんと起きてくるんだけど、昼間に寝るとどうもな…(笑)
水野
水野
あ~、なるほどね(笑)
水野は、そう言い終えると、ふと顔を近づけてきた。
馬亊
馬亊
えっ、何?
水野
水野
目の下辺りにまつ毛付いてるよ
馬亊
馬亊
え、この辺?
俺は、目の下を触ってみる。
水野
水野
えっと、もうちょっと上
馬亊
馬亊
ここ?
水野
水野
ん~ちょっと行きすぎたな~
私が取るよ
水野はそう言って、さらに顔を近づけた。
ちょ、近い…!
その時…
陽葵
陽葵
ん…
陽葵が目を開けた。
陽葵
陽葵
あれ、馬亊?
俺と水野は、思いっきり離れた。
馬亊
馬亊
お、起きたのか、陽葵
水野
水野
よ、よく寝てたね
陽葵
陽葵
…ごめん
馬亊
馬亊
え?何がだよ
陽葵
陽葵
だって…してたんでしょ?
水野
水野
…してた…?
陽葵
陽葵
キ、キス…
水野
水野
え、違うよ
水野が即座に否定した。
水野
水野
馬亊くんの顔に、まつ毛が付いてたから、取ってたの
ね、馬亊くん♪
馬亊
馬亊
お、おう
いや、その通りなんだけど…俺はもしかしたらと思って、ちょっと身構えてたんだけど…
陽葵
陽葵
でも、馬亊は…したかったんじゃないの?
馬亊
馬亊
え?
今日の陽葵、やけに鋭くないか…?
そう思って陽葵を見ると…
…怒ってる?
水野
水野
…馬亊くん、そうなの?
水野が上目遣いで俺を見つめてきた。
馬亊
馬亊
え、いや…
水野
水野
なんだ、違うのか~、残念
水野は、ちょっと残念そうに眉を下げた。
早乙女
早乙女
…あら、陽葵、起きたんだ
陽葵
陽葵
あ、トモちゃん!
早乙女がタイミングよく戻ってきた。
水野
水野
もうちょっと暗くなってきちゃったね
早乙女さん、帰ろっか
早乙女
早乙女
…そうね、二人ともまた明日
陽葵
陽葵
バイバ~イ!トモちゃん!水野さん!
バタンッ。
陽葵
陽葵
…ちょっと気まずい…
陽葵
陽葵
…馬亊ってさ
馬亊
馬亊
ん?
陽葵
陽葵
…水野さんのことが好きなの?
馬亊
馬亊
え?
陽葵
陽葵
…私には、そう見えた
馬亊
馬亊
あー…どうなのかな、好きかもな
陽葵
陽葵
…っ、そっか…
馬亊
馬亊
…でも、一番大切なのは陽葵だから
陽葵
陽葵
…え?
馬亊
馬亊
…俺は、陽葵の命が一番大切だよ
陽葵
陽葵
…そういうの、ズルい
馬亊
馬亊
…え?
陽葵
陽葵
…水野さんのことが好きなのに、…私が一番大切ってどういうこと?
やっぱり、陽葵、ちょっと怒ってる。
馬亊
馬亊
…だからさ、俺は、陽葵が一番好きなんだって
陽葵
陽葵
…す、好き…?
…言ってしまった。
でも、後悔はしてない。
馬亊
馬亊
ああ、ずっと好きなんだ
陽葵
陽葵
…え、や、そんな話は今してないよ…///
陽葵…ちょっと照れてる。
これって、もしかしなくても…って思っていいのか…?
馬亊
馬亊
じゃあ、またちゃんとした時にもう1回言ったら、聞いてくれる?
陽葵
陽葵
…本当にズルい…
陽葵は、顔を背けた。
俺、脈アリって思っていいのかな…

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