俺達は、話すことがなかったからか、全員が無言になった。
水野は、早乙女がさっき言ったこと、聞こえてたのかな…
最初に口を開いたのは、早乙女だった。
早乙女は、部屋を出ていった。
水野は、そう言い終えると、ふと顔を近づけてきた。
俺は、目の下を触ってみる。
水野はそう言って、さらに顔を近づけた。
ちょ、近い…!
その時…
陽葵が目を開けた。
俺と水野は、思いっきり離れた。
水野が即座に否定した。
いや、その通りなんだけど…俺はもしかしたらと思って、ちょっと身構えてたんだけど…
今日の陽葵、やけに鋭くないか…?
そう思って陽葵を見ると…
…怒ってる?
水野が上目遣いで俺を見つめてきた。
水野は、ちょっと残念そうに眉を下げた。
早乙女がタイミングよく戻ってきた。
バタンッ。
…ちょっと気まずい…
やっぱり、陽葵、ちょっと怒ってる。
…言ってしまった。
でも、後悔はしてない。
陽葵…ちょっと照れてる。
これって、もしかしなくても…って思っていいのか…?
陽葵は、顔を背けた。
俺、脈アリって思っていいのかな…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。