第11話

ゾッとした
74
2019/07/23 22:56
凛々side
ん…?
なんか一瞬寒気がしたんだけど。
誰かが私の話でもしてるのかな…
私は、早乙女凛々。
みなさんは、私が戸羽遼太郎と話している所を見たことがないでしょう。
それは過去に…ひどい出来事があったから。
あれは、2年ほど前のこと…






早乙女
早乙女
…じゃあ、また明日、新木くん
馬亊
馬亊
おう、気をつけて帰るんだぞ
早乙女
早乙女
ふふ、大丈夫だよ
この日は、偶然新木くんと帰り道に遭遇して、一緒に帰った。
…というよりは、私が新木くんを先に見つけて、追いかけたんだけどね。
当時の私は、新木くんのことが好きだった。
今はもう陽葵で手一杯ってことを知ってるし、諦めたけど。
??
…ねえ、アンタさ、オレと同じ塾だよな?
早乙女
早乙女
え?
私が後ろを振り返ると…
遼太郎
遼太郎
そこの中学校通ってんだな?
そこに、当時の戸羽くんがいた。
金髪で、ちょっとロングな髪を後ろで結んでいて、学ランの中には、「喧嘩上等!」って書かれた赤いTシャツを着ていて。
theヤンキーって感じのその容姿に、私は言葉が出なかった。
遼太郎
遼太郎
おい、黙ってねーで早く答えろよ
早乙女
早乙女
えっ、あ、はい、そうですけど…
話す口調も今とは全然違って、私は少しずつ離れながら、答えた。
遼太郎
遼太郎
何、ビビってんの?可愛いな
ああ、チャラさ加減は今も全然変わってないけど。
すぐ「可愛い」って言うし。
早乙女
早乙女
私は、出来るだけ戸羽くんを睨んだ。
遼太郎
遼太郎
…はは、オレ、アンタ気に入ったわ
オレの彼女になれよ
そう言って、戸羽くんは、近くの壁をドンッと叩いた。
いわゆる壁ドンだ。
早乙女
早乙女
…嫌です
遼太郎
遼太郎
アンタに拒否権はねーんだよ
そう言うと…戸羽くんは、私に顔を近づけてきた。
早乙女
早乙女
っ⁉
遼太郎
遼太郎
抵抗するだけ無駄だぜ
私は…戸羽くんの唇が一瞬触れたような気がした。
その瞬間。
??
っお前‼
ゴンッ。
早乙女
早乙女
…!
遼太郎
遼太郎
ってぇなぁ、何すんだテメェ!
馬亊
馬亊
早乙女、離れてろ
新木くん…!
早乙女
早乙女
う、うん
遼太郎
遼太郎
お前、俺に逆らったらどうなる…っ!
戸羽くんは、なぜか言葉を呑んだ。
馬亊
馬亊
俺がお前に逆らったらどうなるって?
新木くんは、戸羽くんを見下ろすようにして言った。
遼太郎
遼太郎
~~!そこの女!覚えてろよ!
戸羽くんは、そう言って、走り去って行った。
いや、なんで私よ。
馬亊
馬亊
…ふぅ、間に合った…のか?
早乙女
早乙女
……っ
私は、腰が抜けて、倒れそうになった。
馬亊
馬亊
…っと、大丈夫か?
早乙女
早乙女
…こ、怖かった…
私は思わず、新木くんに抱きついた。
馬亊
馬亊
…怖かったな
新木くんは、何も聞かずに私を抱き止めてくれた。
私は、強がってただけで、本当は怖かった。
だから、私のファーストキスは…戸羽くんに奪われた。
戸羽くんはファーストじゃないと思うけど。
私は、ヤンキーじゃなくなった今でも、戸羽くんのことは許せない。
また、いつ気付かれるのかって、ずっと怯えてる。
もうあんなこと、絶対しないでほしいよ。

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