初めて知った。
人を好きになると、
こんなに温かくて幸せな気持ちになるんだ。
初めて感じた。
君を…誰にも渡したくない、と。
君を…離したくない、と。
こんなに自分がワガママな人間だったなんて…
君と出逢って
初めて知りました。
4月1日。
初めて君に出逢った。
『エリンギフールやんな!?』
近所の公園。
大きな桜の木の下で。
綺麗な桜を眺めていると、
いきなり声をかけられた。
初対面の人にいきなりこれ?と、
思わず笑ってしまいそうになるのを
必死に堪えた。
ーやけに整った顔。
スッと通った鼻筋。
くりっくりの大きな瞳。
無造作にセットされた焦げ茶色の髪。
『え、エリンギ…フール?』
『いや、
コイツがエリンギちゃう言うからさぁ』
そう、手に持っている携帯を指差す彼。
…変な人。
だけど、
くしゃっと笑う目尻。
カッコイイなー。って思った。
『…エリンギフール…。
あ、エイプリルフール…?』
『…あ、そうか!(笑)サンキュー!』
恥ずかしそうにはにかみながら、
どこかへ走り去っていってしまった。
そんな彼の後ろ姿を見つめながら
小さく高鳴ってしまった胸をギュッと抑えた。
この気持ちが
何なのか
今なら分かる。
あの時から
運命の歯車は動き始めていたんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。