「聞いていい?」
私がそう言うと蓮はうん。と頷いた
「転びそうになった時助けてくれたじゃん?なんで何も言わないで行っちゃったの?」
蓮「あの日は樹くんと約束してて遅れそうだったから急いでた」
何かを思い出すように少し上を向いて
眉間に皺を寄せながら言う
「最近帰りが遅かったのは?」
蓮「ここの準備してた」
「じゃあ、サークルの飲み会で酔っ払って帰ってきたのは?」
蓮「それは、」
蓮は少しだけ目を泳がせた
「言えないならいいけど・・・」
蓮「いや、言う!」
私のことをガシッと掴んだ
蓮としっかり目があった
蓮「あの日、ここを俺の名義にするために北斗くんと会ってた。樹くんと北斗くんと一緒に飲んでて、気づいたら潰されてた」
あぁ、と頭を抱えた
あの2人ならやりかねない
蓮「絶対秘密にしたかったからサークルって嘘ついた。ごめん」
「私も勘違いしてたみたいごめん」
蓮「で、どう?」
蓮がゆっくり離れていく
返事はもちろん
「いいに決まってる」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。