第103話

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2020/10/22 16:54
シェアハウスの部屋はダンボールでいっぱいになった

今日は引越しの日

ラウちゃんは学校を休んで

私達のお手伝いをしてくれるらしい

ひーくんが大きい車を玄関につけると

みんなは私たちのダンボールを黙って運び出した

あの日悲しい別れ方をした家はどこにもなく

なんだか温かい空気に満ちていた


亮平「これ最後?」


「最後だね」


亮平「あなた、幸せになるんだよ」


「ありがとう、亮ちゃん」


亮ちゃんとすれ違う

もう部屋には何も無かった

見渡してここに来た時を思い出した

翔太に拾われて

そのまま2人で朝を迎えて

みんなにびっくりされたっけ

ここの部屋を貸してもらう時は

ひーくんが一緒になって綺麗にしてくれたっけ

そういえばこのベット

ふっかさんと買いに行ったっけ


蓮「あなた?」


思い出せば温かい記憶ばかり

私の目からは涙が溢れていた


蓮「寂しい?」


「ちょっとね」


蓮「いこう」


蓮が私の涙をふいて手を引いた

私の部屋のドアが後ろで閉まった音がした

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