「はぁ、はぁっ…」
ほんま、どこ行ったん?
近所の公園も、コンビニも、全部探した。
それでもまだあなたは見つからん。
「あなたっ…」
もう辺りは真っ暗。
こんなとこに女の子1人じゃ危なすぎる。
はやく、はやく見つけんと。
プルルル…
ポケットが震えている。
着信だ。
「え…みっちー?」
[もしもし、長尾?]
「あ、あなたまだ見つからんのや。やから今は…」
[あの…あなたちゃん。家来てる。]
「え?」
[家来たとたん、めっちゃ泣き出して。今は疲れたんか寝てるわ。]
「…」
[はよ家来て。]
「分かった。」
1秒でもはやく会えるように全速力で走り続ける。
走って10分くらい、みっちーん家に到着した。
「みっちー。」
[入って]
「…あなた?」
[泣き疲れて寝てもうた。]
みっちーん家のソファで小さく縮こまって眠るあなた。
目は真っ赤に腫れていた。
「…ありがと、みっちー」
[俺はへーき。長尾、ちゃんと仲直りするんやで?]
「わかってる。」
みっちーにお礼をしてあなたをおんぶして家に帰る。
「…ごめんな。あなた。」
『、ん…けんと、、』
「ん?…って、寝言か。」
真っ暗な空を見上げながら、夜の住宅街を歩いていく。
風邪は冷たくて寒いけど、背中はあなたを背負っているからあったかかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。