その日からあの子に意地悪されるようになった。
" 早く別れろ "って書いてある紙が机の中に入ってたり、呼び出されたり。
大橋くんといっしょにいるのが苦痛になるほどで。
「あなたちゃーん」
『っ大橋くん、今日はごめん』
「なんか最近そればっかやない?」
『ちょっと、ね。じゃあ、』
大橋くんと話さないようになった。
大橋くんを避けるようになった。
大橋くんと…会わなくなった。
…
おかしい、よな。
前からベタベタするほうではなかったけど。
なんか避けられてるし。
〈なーなー、和也んとこ別れたん?〉
いっしょにいることが無くなったからか、友達にそう言われることが多くなった。
俺はあなたのこと好きやし、別れたない。
もう一度ちゃんと話そう、と思ってあなたちゃんのほうに行った。
[あなたちゃん、今日もね。]
『っ…うん。』
なに、明らかあなたの顔引きつっとるやん。
なんか…ある、絶対ある!
バレへんように後をつけていくと、衝撃的やった。
[なんで別れないのよっ!]
『った、…』
[ねぇ、聞いてる?!]
『…わかってるよ、別れてくる。』
[ふふ、やっと別れてくれるのね。]
クラスの子に虐められてるあなた。
可哀想で、申し訳なくて、怒りが溢れてきて、
「勝手に別れるとか言わんといてくれる?」
勝手に体が動いてた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。