第69話

【長尾謙杜】秘密の場所・前編
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2020/03/17 10:18





『…あれ、どこだっけ』


誰もいない図書室。
ほとんど人は来ないけど、図書委員の仕事はあるからやらなければならない。
だけど私以外の図書委員はみーんなサボり。
私一人だけで委員の仕事をしている。
たくさんの本の整理。


『んー、届かないなー』


「届かないんすか?」


『っえ?』


台に乗って1番上の段を片付けようとしていたら、
後から急に話しかけられる。


「届かないんやろ?俺やりますよ。」


『あぁ、ありがとう…』


ネクタイの色的に、一個下の学年の子。
でも、なんで図書室に?


「先輩、なにしてるんすか?」


『わたしっ?私は、図書委員で、』


「だからなんすね。」


『そっちも、…ぇえっと、』


「長尾です。長尾謙杜。」


『長尾くん、なんでここ来たの?誰もいないのに。』


「誰もいないから来たんっすよ。」


『は?』


「俺も結構前からここ来てますよ?気づいてると思うてた。」


『え、いつもいたの?』


「たまたま来たら、先輩おって。あっちの端のほうで本読んだり昼寝したり。」


『そ、なんだね…気づかなかった、』


「おっちょこちょいっすよね、先輩。なんや、本倒したりしとったし。」


『っ見られてたなんて…』


「俺に、先輩のこともっと教えてくださいよ。」






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