『…あれ、どこだっけ』
誰もいない図書室。
ほとんど人は来ないけど、図書委員の仕事はあるからやらなければならない。
だけど私以外の図書委員はみーんなサボり。
私一人だけで委員の仕事をしている。
たくさんの本の整理。
『んー、届かないなー』
「届かないんすか?」
『っえ?』
台に乗って1番上の段を片付けようとしていたら、
後から急に話しかけられる。
「届かないんやろ?俺やりますよ。」
『あぁ、ありがとう…』
ネクタイの色的に、一個下の学年の子。
でも、なんで図書室に?
「先輩、なにしてるんすか?」
『わたしっ?私は、図書委員で、』
「だからなんすね。」
『そっちも、…ぇえっと、』
「長尾です。長尾謙杜。」
『長尾くん、なんでここ来たの?誰もいないのに。』
「誰もいないから来たんっすよ。」
『は?』
「俺も結構前からここ来てますよ?気づいてると思うてた。」
『え、いつもいたの?』
「たまたま来たら、先輩おって。あっちの端のほうで本読んだり昼寝したり。」
『そ、なんだね…気づかなかった、』
「おっちょこちょいっすよね、先輩。なんや、本倒したりしとったし。」
『っ見られてたなんて…』
「俺に、先輩のこともっと教えてくださいよ。」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。