「あなたちゃん」
『ん、なに?』
「や、なんでもない」
『なぁによ、』
学校の帰り道、1つ年上の彼女のあなたちゃんと手を繋いで歩く。
あなたちゃんは、なんか余裕があってリードしてくれる。
…身長はちっちゃいくせに。
『今日ね、隣の席の青木くんがね、』
青木 " くん " ってことは、、男?
は?俺以外の男の仲良くしてるとか、ややねんけど。
『数学の時間に指されてて…』
「…」
『そのとき寝ててね?、すっごい面白かった、っ!』
「…」
『…風雅?』
「嫌や。」
『え?』
きょとんとした顔でこっちの顔を伺ってくる。
「あなたちゃんは、俺だけ見てればええのに。」
繋いでる手を繋ぎ直して早急に俺ん家に向かう。
『ね、どしたの?』
時々戸惑いながら声をかけてきてくれてるけど、今は無視。
『風雅?』
「ええから。」
自分家につくと丁度親はおらんかった。
そのまま俺の部屋に連れ込んで、ベットに押し倒す。
『ね、、風雅、どうしたの?』
「やって、」
『風雅、? っん』
いつも余裕そうな彼女に動揺してほしくて、いきなり唇を塞いでみる。
「っぱぁ…」
『ね、ほんと、どうしたの?』
顔を赤らめて、少し目をうるっとさせて、こっちを見つめてくるあなたちゃんは、すっごい可愛い。
「おれだけ。」
『え?』
「あなたちゃんは、おれの」
『…ふふっ、もしかして妬いちゃったの?』
「っ、妬いてへんし」
見透かされちゃって恥ずくって、
それでも気づかれてもうて。
そっと抱きしめてくれた。
『ありがと』
『私、風雅のこと、好きだよ』
「っ、!」
『ふふっ、照れたぁ〜笑』
「て、照れてへんしぃっ」
見つめあって、唇を重ねて。
「もっと、頼ってぇや。」
「年下やけど、彼氏、やねんから」
『充分頼りにしてるよ、風雅のこと』
「ほんまに?」
『当たり前じゃん』
「…だいすき、」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。