「あなたっ、チョコちょーだい」
廉くんが帰宅して1秒。言われた言葉。
『え?』
「だーかーらー、今日バレンタインやろ?」
『あぁ、あるよ?』
さすがに作りましたよ、あなたちゃんお菓子作り苦手なんですけどね、頑張りましたよ。
「やった!」
そう言ってる永瀬さんですが…
『めっちゃチョコ持ってるじゃん。』
紙袋パンパンにたっくさんのチョコレート。
「これ、仕事場で貰ったやつ。市販のやつやから、賞味期限もつやろ。」
「だから、はやくあなたのちょーだい」
疲れているのか、やけに絡んでくる。
今も、廉くんに抱きつかれている状態。
『はいはい、バレンタインどーぞ』
「うわぁ〜…うまそ。食べてええ?」
『もちろん。』
「いただきます…んーー!めっっちゃ美味っ!」
目を見開いてこっちを見てきて、美味しいおいしい言いながら食べてくれるから、ちょっと照れる。笑
『よかったぁ』
「あなたもたべる?」
そーいえば、味見してないしな…
『うん、1個貰ってもいい?』
「ええよー。っ待って、やっぱこっち向いて?」
『んー?』
廉くんに向かい合わせになるように座らされる。
「俺からのお礼な?」
そう言って自分の口にチョコを含むと、唇をくっつけて私の口にチョコを流してきた。
『ん、ぁゃ…っ!』
「下手すぎやろ、口にチョコ付いとる。笑」
口の横についたチョコペロッと舐められる。
『ばっ、、っ!』
「あまいな?」
味なんて、分かるわけないじゃん…っ!
『もっ、やめっ!』
「あぁあ〜〜、そっち行かんとってーやー」
だる絡みされてるー。
『廉くんが悪いんだからね!』
「ごーめんなさーい」
全然反省してないじゃん…
「でもめっちゃ美味かったで?」
" あなたのチョコも、あなたの唇も♡ "
❤︎ Sweet・Valentine ❤︎
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!