" これ付けて散歩しよ "
その一言を、なぜ承諾してしまったんだろう。
今私はその後悔でいっぱい。
『…、まだ、帰んないの?』
「んーさっき家出たばっかやん。」
私のナカには玩具が入っている。
遠隔操作できるリモコンは恭平の手に。
恭平はスイッチを入れたり切ったりして遊んでる。
…こっちはめっちゃ我慢してるって言うのに!!
『…きょへ、帰ろうよ』
「やーだー」
『だって…んっ、』
「こーえ、抑えきれてへんやん。ちゃんと我慢して」
『それは恭平がっ!「あーそんなこと言ってええんや。」
反発したら玩具のスイッチを中にされる。
『…っ、ふ…』
きゅっと恭平の袖を掴めば、弱にされる。
脚をくねらせながら、何とか歩いて。
たどり着いた近所の小さな公園。
「あー俺ちょっとトイレ行ってくるわ」
『うん、』
ベンチに一瞬座ったけど、座ると奥まで玩具が入ってきてしまうから、座るのを諦めた。
木にもたれかかって恭平を待っていると。
道枝「あれ?あなたちゃんやん!どうしたんこんなとこで。」
『え、あー…恭平待ってて、』
タイミング悪すぎ…
道枝くんはクラスメイトで、恭平の友達。
道枝「そーなん?じゃあその間俺と喋ろ」
『…、うん、』
道枝「ベンチ座ろー」
『…、』
道枝「ん?どうしたん、座らんの?」
『あっ、座るっ…』
座れば玩具が奥に当たってしまう。
でも座らなければ道枝くんに変に思われちゃうよね…
少しでも、刺激を少なく…と思い、ゆっくりと腰を下ろす。
道枝「てかさ、理科の宿題多ない?終わらんねんけど」
『…そうだよね、難しいし』
このまま、弱のままだったら、なんとか大丈夫そう…
なんて思っていたら。
『…っ、!!』
いきなり強になった。
え、…きょへ、見てる……の?
道枝「え、あなたちゃん、具合悪い?」
『なんでも、ないっ!から…』
道枝くんに声を聞かれたら、学校でどうなることか…
脚とか手に力を入れて必死に、堪える。
でも、、…あ、待っって……限界、
『っ、……、』
我慢、我慢しろー私!
そう言い聞かせて、なんとかイきそうな気分を紛らわす。
「あれーみっちーやん。なんであなたとおんの?」
道枝「んえー、たまたま会ったから」
てか、早くスイッチ止めてよっっ…!
むりむり、俯いて2人の話が終わるのを待っていれば。
道枝「あ、そーいやあなたちゃん具合悪そうやで?」
「あー、、平気なん?」
平気なん?じゃないわ!!
あなたのせいでしょっ?
道枝「お家で見てあげや?じゃあ」
道枝くんが帰っていって。
恭平が口を開く。
「…なにみっちーの前でイきそうになってるん?」
『だって、ぇ恭平が強にする、から』
「そんな俺のせいにされても。」
いや、100%あなたのせいでしょ!?
「…もうスイッチ切ってあげるから、家帰ろ」
『うん!』
やった!この地獄から、やっと解放…とはいかず。
「みっちーに言われたやん?ちゃんと見てあげてーって。やから、お家帰ったらいっぱい愛してあげるわ。」
『はぁっ!?』
「だーって、あなたまだイってないやろ?ほーら、早く帰るでー」
…恭平、せめて優しくしてね?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!