最初普通に繋いでいた手が、
自然と恋人繋ぎになった。
あなたの手、ちっちぇー…
なんかふわふわしてて、
ぴったり俺の手におさまる…
なんて考えてたけど、
変態みたいで考えるのをやめた。
ちょいちょい見てくっから、
あんま見んなって言ってしまった。
今日のあなた、可愛すぎ…
終始照れを必死で隠していた。
俺達は駐車場に向かった。
もっと繋いでいたかったけど、
運転しなきゃだし…仕方ない。
離れても少しの間
あなたの温もりが消えなかった。
そのあと俺ん家に来ることになり、
車を走らせた。
計画通り…にししっ
家に着いて、
車置いてくるからと言って先に降りてもらった。
俺が家に入る頃には、
みんなが予定通り実行してくれていた。
ものすごくビックリしている
あなたの背中で、
ものすごく感動した顔に変わる。
この顔、いろんな顔が見たい。
そう思って俺は、この仕事を選んだ。
全ては君を…
あなたを、笑わせるため。
いつも下を向いて悲しい顔をしていた君を、
あの時一瞬だけ桜を見て笑ってた君を、
この手で。
そう言ってあなたの頭を撫でた。
俺は絶対、
あなたの笑顔や全てを守ってみせる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!