第13話

デジャヴ
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2019/03/18 00:24
「あーまた先輩たちバスケしてるーっ

片桐先輩かっこいー…」


優梨ちゃんの声に私もバスケのゴールの方へ目を向けた。


あ、一ノ瀬先輩。


自然と口角が上がる。


あーぁ、自分の気持ち認めたら、なんだかスッキリしちゃって。


これが“好き”なんだなって。


でも、好きってどこにいくんだろう…


「もー、あなたまた最近何悩んでんのー?

昨日からぼーっとしてるよー?」


ドキッ。


こ、これは…


言った方がいいんだよね…?


「あ、あのね…」


どうしよ…緊張してきた…


なんか改まって言うのも恥ずかしい…


「実は、私…」


ごくんと唾を飲み込む。


「一ノ瀬先輩のこと…好きみたい…」


うううう…恥ずかしい…


絶対顔真っ赤…!


みんな、どう思ったかな…?


「…え?」


「え?」


え?って、え?


「あ、いや、知ってるよ?」


「ええええええええ!?」


知ってる!?


え!?


「昨日も私聞いたじゃん、好きなの?って」


「それに、あなたっていつも一ノ瀬先輩のこと見てるし。」


「一ノ瀬先輩って言葉自体にすごい反応するし…」


優梨ちゃんに加えて玲奈ちゃんと葵ちゃんまで!


そんなぁ〜!


「まぁ、やっと自分の気持ちに気づいたってことだよねっ

おめでとっ!」


優梨ちゃんが微笑む。


「ありがと〜…」


心がほっこり温かくなった。


「じゃあまず、連絡先知らないとね。」


「てかその前に、名前知ってもらわないと!」


えっ…


「何驚いてるの?

いいの?せっかくの初恋だよ?」


初恋…


うん、そうだよね。


頑張って、みようかな…





って決めたものの…


無理…


今日は部活なし。


優梨ちゃんたちはあるから、今日の帰りは1人だぁ…。


はぁ。


好きって自覚したのはいいけど、何したら…


いきなり連絡先とか聞けない…。


名前知ってもらうにも、自己紹介とかおかしすぎるし…


あぁーどうしよう…


どんっ。


「わっ…!」


いてて、前を見ずに歩いてたらぶつかって尻もちついちゃった。


「ごめんねっ、大丈夫?」


「はい…」


そう言いながら差し出された手を掴んで立つ。


「ありがとうございま…」


え。


「一ノ瀬…先輩…」

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