第2話

入学式
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2019/02/27 05:51
「うららかな春の日差しが注ぐこのよき日に、多くの皆様のご臨席を賜りー…」


4月。


桜がはらはら舞う中、新しい環境に期待をふくらませながら校門をくぐった。


中学の頃の友達と一緒に掲示されたクラス表を見、席について隣の席になった人と話す。


係の先生に廊下に並ぶように指示され、吹奏楽部の演奏を耳にしながら体育館入場し、入学式が始まる。


学校長式辞なんて、まだ始まったばかりなのに、なんでみんなこんなにウトウト…


前の男の子、完全に寝てるよね…


下向いちゃってるし…


あとで首、痛くなるよ〜?


カクンッとさらに首が折れる。


あぁ…


ステージの上の校長先生からも丸見えなんじゃ…


そう思いながら、顔は前に向けつつあたりを少し見回す。


今日から、高校生。


どんな人と友達になって、


どんな人と恋をして、


どんな高校生活を送るのかな。


ちゃんと勉強について行けるかな、とか


みんなと仲良くできるかな、とか


色々不安もあるけど、


それでもやっぱり、これからの高校生活が楽しみっ!





「ふぁぁぁ…」


「眠そうだねぇ、ちーちゃん」


新入生退場の後、ある程度は列をなして歩いてたけど、教室の近くまで来るとバラバラ。


私の隣で同じ中学出身の後藤ごとう千早都ちさとが大あくびをしている。


「超眠くなかった?

校長の話長いしー…」


「確かに、みんな寝てたもんね…」


「あなたはよく真面目に聞けたじゃんっ

私、無理、耐えられない…」


んー…


私も真面目に聞いてたってほど聞いてはなかったけど…


でもやっぱり、緊張はしてたかな…


そういえば昨日も緊張して上手く寝れなかったんだよね…


「んじゃーね、またあとで」


「うんっ」


残念ながらちーちゃんは隣のクラス。


同じクラスに知り合いいないんだよね…


「おつかれっ!」


席に座ってぼーっとしていると、左隣の席の人が話かけてきた。


「あ、おつかれ〜薮崎さん。」


薮崎やぶさき優梨ゆうりさん。


入学式前にも声掛けえくれたんだよね。


「もぉ、堅苦しいから、下の名前でいいよっ!

私もあなたって呼ぶし。」


「わ、分かった、優梨ちゃんっ」


わぁぁぁ


なんか、青春っぽい…


「あ、そだ、LINEもってる?」


「うんっ」


私はポケットからスマホを出して、LINEのQRコード画面を見せた。


「ありがとーっ!

今クラスLINE作ってるから招待しとくね!」


「うんっ、ありがとう〜」


もうクラスLINEが…!


さすが、行動力ある人は違うなぁ…


優梨ちゃん、学級委員とか向いてそう…


「これからよろしくね、あなた!」


「こちらこそ!

よろしくね!」

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