第6話

出会い
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2019/03/13 08:10
「おはよーっ」


「あ、あなた!

おはよぉ〜」


あれから数日、オリエンテーションとか健康診断とか色々あって、今日から授業開始!


1時間目から、苦手な理科だぁ…


高校生になると、“理科”ってくくりじゃなくて細かく化学とか生物とかになるんだよね…


「生物室、どこだっけ?」


「理科棟のー…」


「3階、3番教室っ」


「「え?」」


後ろから声がして振り返ると、知らない男子生徒が立っていた。


靴の色が緑…3年生…?


「生物室は、理科棟3階3番教室だよ」


「えっ…あっ、ありがとうございます…」


「あ、あのさぁ、桝本ますもと凌我りょうがってこのクラス?」


戸惑っている私たちに、話を続ける先輩。


「あ、はいっ、そうですけど…」


「そっか〜ありがとっ」


そう言ってその先輩は3年生の教室の方へ向かっていった。


「と、とりあえず行こっか」


「そだねっ」





「あ。」


理科棟に着いたところで私は立ち止まった。


「ん?

どした、あなた」


「資料集、忘れてきちゃった…」


持ってるのは教科書、ノート、筆箱だけ。


ロッカーに入れっぱなしだ…


「今日、一応全部持って来いって言ってたよね。」


「ちょっと、先行ってて〜

私取ってくる。」


「時間、大丈夫?」


スマホで時間を確認すると、授業開始までまだあと5分あった。


「大丈夫、早く出たおかげで。

行ってくるね」


もうっ!


忘れ物しちゃうなんてツイてないなぁ。


焦る気持ちから小走りになる。


どうしよう、あと何分?


ぱっとまたスマホに目を移した。


ドンッ。


強い衝撃と共に、私のノートや教科書が床に落ちる。


「すみませんっ…」


前、見てなかったから…


人とぶつかっちゃった。


うぅ、靴の色、緑色だ…


よりによって男の先輩にぶつかっちゃうなんて…


慌ててノートを拾う。


「ごめんね?

大丈夫?」


ぶつかった相手は、しゃがんで教科書を拾ってくれた。


「はいっ、大丈夫です…

ごめんなさい…」


私は顔を上げる。


「っ…」


一瞬、時間が止まったかと思った。


そして、コロンとビー玉が落ちるような音を聞いた気がした。

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