第8話

熱?
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2019/03/14 13:27
また、ドクンと鼓動が大きくなった。


胸を締め付けられる感覚。


なんで…


また急にっ…


「あの人、さっきの…」


「教室で生物室教えてくれた人だよね」


えっ…


あ。


女の子たちの視線の先には2人の男の人。


1人は、教室で会った人。


私、みんなが言うまで気づかなかった。


もう1人の方が、先に目がいってた。


その人に、目を奪われてた。


さっき、ぶつかっちゃった先輩。


周りからはきゃーとか、カッコイイとか聞こえてくる。


「いやー、あの時はびっくりして顔とかよく見てなかったけど、イケメンだったんだね…」


「あの隣にいる人もカッコイイね。

みんな言ってるし、なに、校内のツートップ的な?」


私、あんな人とぶつかっちゃったんだぁ…


恐れおおいっ…


「あなた、どうしたの?」


「えっ?」


「顔、赤いよ?

熱?」


え…


慌ててほっぺたを触る。


ほ、ほんとだ…


耳まで熱い。


どうしちゃったんだろう。


今日、変だ。


でも、頭は痛くないし、咳も出ない…


「た、多分大丈夫…だと思う…」


あ、さっきあの人とぶつかったときと同じ。


あの時も胸に変な感じがして、顔が熱くなって、多分大丈夫って答えたんだ。


わぁぁぁ、なんか急にまた顔が熱く…


ほんとに、今日どうしたんだろ…





「ねぇ、情報情報!」


放課後、優梨ちゃんが教室を出ようとしていた葵ちゃんと玲奈ちゃんを引き止めた。


「なーに?」


「さっきの先輩、やっぱ去年のミスターコン優勝者なんだって!」


そういえば、この学校は文化祭でミス、ミスターコンテストがあるって聞いたことが…


「へぇ〜…」


「やっぱり!

かっこよかったもんね!!」


興味無さげな玲奈ちゃんとは対照的に、葵ちゃんは話に食いついた。


「名前はっ?」


「んと、片桐かたぎり健人けんと先輩!」


人差し指を立てながら答える優梨ちゃん。


「名前もかっこいいねぇ!」


「だよねだよねっ!」


「あっ…あの、隣にいた人は?」


私は無意識にそう聞いていた。


あれ、なんで…


別に、名前知っても何にもならないのに…


んんー…?

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