第11話

好きって?
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2019/03/16 08:31
あ。


また。


最近よく見かけるなぁ〜。


先輩とぶつかっちゃってから3ヶ月たつけど、集会、お昼休み、放課後、先輩のことをよく見る。


「あなた、どした?」


「あぁ、ごめんっ」


優梨ちゃんに呼ばれて、止めていた足を進める。


「午後の授業なんだっけー」


「世界史じゃなかったー?」


前を歩く葵ちゃんと玲奈ちゃんの声を耳に、視線を戻す。


一ノ瀬先輩と片桐先輩。


本当にいつも一緒に居るんだなぁー…


あっ、危ないっ!


っ、ふぅ…セーフ…


ってかゴールっ!


一ノ瀬先輩、真面目そうなのに時々ヤンチャなことする。


中庭にはバスケのゴールがあって、誰かしら昼休みに使ってる。


今日は一ノ瀬先輩と片桐先輩と、あと数人の3年生の先輩たち。


ダンクシュートなんて、カッコイイなぁ…


「ここにしよっか。」


玲奈ちゃんがベンチに座った。


「あれ、いつもの場所は…」


私たちは最近大きな木の下のテーブル付きのベンチで食べるようになったんだけど…


座ったのは日向のベンチ。


「あー、ほら、3年生が。」


ちらっといつもの場所を見ると緑のリボンをつけた女の先輩達がお弁当を広げていた。


「あそこ、バスケしてるとこがよく見えるじゃん。

今日片桐先輩たちがやってるからだよ」


なるほど…


やっぱり片桐先輩は人気なんだなぁ…


私は…


ちらっとまたバスケをしている先輩達の方へ目を向ける。


一ノ瀬先輩もかっこいいと思うけどな…


「え、意外!

あなた、そうだったの!?」


「へっ?」


な、何が…?


「あなたって一ノ瀬先輩のこと好きだったの!?」


「え!?」


衝撃のセリフすぎて、頭がついていかない。


私が、一ノ瀬先輩を…!?


「いや!まさか!

なんで??」


「え、だって、今“カッコイイ”って。」


「えっ」


かっこいい…?


って、


さっきの…!?


く、口に出てたの!?


かぁぁっと顔が熱くなる。


「いやっ、カッコイイ、とは…思ったけど…好きとか、そんなのは…」


そもそも…


好きとかよく分からないし…


かっこいいって思うってことは…好きってこと…なの…?


「わはははははっ…!」


先輩たちの笑い声が聞こえる。


好きって…


なんだろ…

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